コラム2024年01月01日 年頭所感 年頭所感 国税不服審判所長 伊藤 繁(2024年1月1日号・№1009)
年頭所感
新年を迎えて
伊藤 繁 国税不服審判所長
令和6年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
国税不服審判所は、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行う機関であり、「税務行政部内における公正な第三者的機関として、適正かつ迅速な事件処理を通じて、納税者の正当な権利利益の救済を図るとともに、税務行政の適正な運営の確保に資する」ことを使命としています。
この使命を果たすため、審判所では、設立当時から一貫して「争点主義的運営」、「合議の充実」及び「納得の得られる裁決書の作成」の3点を事務運営の基本方針とし、具体的目標として「適正な事件処理」、「迅速な事件処理」、「審判の透明性の確保」、「裁決の質的向上」及び「簡潔、明瞭な裁決書の作成」という5項目を掲げ、これらの目標の達成に向けて積極的に取り組んでまいりました。
近年、税務行政を取り巻く環境は、経済社会の国際化・デジタル化の進展、働き方の多様化など大きな構造変化に直面しています。こうした中において、審判所の使命を引き続き果たしていくためには、これまでに築かれた審判所の良き伝統を活かしつつも、単に従来の手法を踏襲するだけでなく、社会や環境の変化にも目を向けながら、常に適正で合理的・効率的な運用となっているかを見つめ直していく必要があると考えています。このような意識の下、審判所では、例えば、原則として、審査請求手続に係る書類のすべてについて、e-Taxを利用した提出を可能とし、また、審査請求人の求めに応じて、Web会議システムを利用した面談・口頭意見陳述を実施するなど、審査請求人の更なる利便性向上に取り組んでいます。審判所に対して更なる信頼と評価が得られるよう、引き続き一層の努力と工夫を積み重ねていきたいと考えています。
審判所では、民間専門家の高度な専門的知識や実務経験を活用するとともに、審査請求事件の審理の中立性及び裁決の公正さを確保する観点から、事件を担当する国税審判官の半数程度を、弁護士や税理士、公認会計士などの職にあった民間専門家から特定任期付職員として登用しており、全国各地で大いに御活躍いただいているところです。このように多様な人的構成の組織であることの特性を最大限活かし、幅広い視点、多角的な観点から議論を尽くすなど、引き続き、充実した審理を行ってまいります。
また、簡易迅速な手続により納税者の権利利益の救済を図る観点から、事件処理に当たっては、裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を1年と定めています。本年も、計画的に調査・審理を進め、適正さを確保しながらも、迅速な事件処理に取り組んでまいります。
審判所が適正かつ迅速な裁決を実現するためには、審査請求人及び原処分庁それぞれが自らの主張を明確にし、それを裏付ける証拠書類等を早期かつ積極的に提出していただくことが重要となりますので、引き続き、御理解と御協力をお願いいたします。
最後に、審判所では、ホームページにおいて審査請求制度の概要等をまとめたパンフレットを掲載しているほか、YouTubeチャンネル「Tribunal Channel−国税不服審判所−」に裁決に至るまでの審査請求手続の流れを分かりやすく紹介した動画を掲載していますので、是非御覧いただければと思います。なお、ホームページでは、先例となるような裁決事例について、おおむね四半期ごとに、参考裁判例などを付記し、公表していますので、併せて御活用ください。
本年が、皆様にとって、幸多き年でありますようお祈り申し上げまして、新年の御挨拶といたします。

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