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解説記事2024年01月01日 SCOPE インボイス導入後の確定申告、住澤国税庁長官が対応方針示す(2024年1月1日号・№1009)

e-Tax、令和5年分から給与情報が自動入力可
インボイス導入後の確定申告、住澤国税庁長官が対応方針示す


 新春にあたり、本誌は、住澤整国税庁長官に令和5年10月から導入されたインボイス制度や、令和6年1月から始まった電子帳簿等保存制度などに対する国税庁の対応についてインタビューを行った。住澤長官は、インボイス制度が導入され、初めて消費税の確定申告を行う事業者もいることから、各税務署において新たに課税事業者に転換した納税者を対象とした説明会を開催するほか、ダイレクトメールで「2割特例」などの周知を行うなど、柔軟かつ丁寧な対応を行う方針を示している。

初めての消費税申告、個別相談や説明会等で対応

本誌:令和5年10月開始のインボイス制度の現状と対応などについて教えてください。
長官:昨年の11月末時点でインボイス発行事業者として約416万の事業者が登録されています。初めての消費税申告を行う方などに対しては、各税務署において、新たに課税事業者に転換された方を対象とした消費税に関する説明会の実施や、確定申告期における申告相談体制の拡充など、今年の確定申告に向けた各種の取組を進めています。一方で、課税事業者に登録するかどうか検討している免税事業者に対しては、個々の状況を踏まえて個別相談を行う「登録要否相談会」を引き続き実施するほか、インボイスコールセンターによる相談体制の拡充を行うなど、適切に相談を実施する体制を整備しています。 
本誌:令和5年分確定申告の対応についてお聞かせください。
長官:国税庁では、従来から納税者利便の向上などの観点から、自宅からのe-Taxの利用拡大に取り組んでおり、毎年、e-Tax等の機能の改善を行っています。令和5年分の確定申告では、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」でマイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する際に、事業者からe-Tax等で提出された「給与所得の源泉徴収票」に記載されている情報をマイナポータル経由で取得する仕組の導入を予定しています。これにより、これまで納税者自身が入力する必要があった給与に関する各種の情報が確定申告書に自動入力されることになります。
 また、今回は、インボイス制度が施行されて初めての確定申告になります。新たに課税事業者に転換された方の中には、初めての消費税の申告に不安を抱えている方も多いと思います。各税務署では個別の相談や消費税の申告方法等に関する説明会を実施していますが、参加できなかった事業者の方もいることから、1月中には、新たに課税事業者に転換された方を対象に、ダイレクトメールを送付し、いわゆる「2割特例」や、消費税申告の必要性について周知を行うこととしています。
(編注:令和5年度税制改正では、免税事業者が課税事業者を選択した場合の事務負担の軽減を図るため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩措置が3年間(令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間)講じられている。)

電子帳簿、調査でダウンロードに応じれば検索機能要件は不要

本誌:電子帳簿等保存制度実施への対応について教えてください。
長官:電子帳簿等保存制度については、令和6年1月から電子取引データの保存義務が新たに始まりました。国税庁としては、電子取引データ保存制度に関するパンフレットや、YouTube動画の作成、各種説明会への講師派遣など、制度の内容や対応方法に関する周知・広報に取り組んできました。今後、電子取引データの保存にあたっては、改ざん防止措置、モニター・操作説明書等の備付け、検索機能の確保といった要件を満たす必要がありますが、一定の場合には緩和措置が用意されています。例えば、基準期間の売上高が5,000万円以下の場合には、税務調査等の際に税務職員からのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、検索機能の確保の要件は不要になるなど、事業者の事務負担に配慮した制度が措置されています。国税庁としては、このような弾力的な措置についても周知・広報に取り組むとともに、事業者等からの問い合わせに的確に応じるなどして対応していきたいと考えています。
税務を起点に業務のデジタル化を
本誌:税務行政のデジタル化に係る今後の取組についてお聞かせください。
長官:昨年6月に策定した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション−税務行政の将来像2023−」においては、「納税者の利便性の向上」及び「課税・徴収事務の効率化・高度化」に加え、3番目の柱として「事業者のデジタル化促進」を掲げて各種の施策を行っています。例えば「納税者の利便性の向上」では、今年の2月から、マイナポータル連携を活用した給与情報の自動入力が開始されます。また、4月以降については、電子申告の手続と同時に「ダイレクト納付」の利用手続を済ませることができるといった仕組みも開始されます。e-Taxやキャッシュレス納付等の利用拡大を実現できるように、周知・広報を行っていきたいと考えています。また、「課税・徴収事務の効率化・高度化」の観点からは、申告内容や調査事績の情報など、国税庁が有している様々なデータを、BAツールやプログラミング言語を用いたAI等も活用した分析を行う取組を進めています。更に、税務のデジタル化を契機として、事業者の様々な業務が一貫してデジタル化されることで、単純誤りの防止による正確性の向上のみならず、経営の高度化や効率化につながっていくと考えていますので、「税務を起点とした事業者の業務のデジタル化」に前向きに取り組んでいくこととしています。
本誌:ありがとうございました。

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