税務ニュース2024年02月23日 指定管理者への金員は役務提供の「対価」(2024年2月26日号・№1016) 地裁、赤字の補填に充てられたとしても管理業務の対価と判断
周知のとおり、指定管理者制度とは、地方公共団体が設置した公共施設を、民間企業や団体を指定して管理・運営を委託する制度のことである(地方自治法244条の2)。
本件では、指定管理者である原告が市と締結した、平成25年度から平成27年度までの期間に係る基本協定書上、指定管理料は無料とされており、平成26年度及び平成27年度において、原告は市から補助金の交付を受けていた。一方、平成28年度から平成30年度までの期間に係る基本協定書及び年度協定書には、本件業務管理の実施の対価として対価(1年度当たり6,000万円)を支払う旨が記載されており、実際に原告は市から支払を受けていた。
東京地裁は、①本件基本協定書及び年度協定書の記載によれば、原告と市との間に指定管理料の支払についての合意があったこと、②原告は市に対し指定管理料の請求書を送付していること、③市は本件各支払金を「委託料」と区分して市議会の議決や市長の決裁を受けていることなどから、本件各支払金は本件管理業務の「対価」に当たると判断した。
原告は、本件各支払金は赤字補填を目的とするものであるから、その趣旨及び性質は平成26年度補助金等と変わりはない旨主張していた。
これに対し東京地裁は、「指定管理者制度においては、指定管理者たる民間事業者が当該公の施設の管理を通じ適正な利潤を上げることも想定される一方で、当該公の施設の提供するサービスの内容や性質によっては、住民に対する適正なサービスの提供という観点から、利用料金を収受しないことやその金額を低く抑えることが適当である場合も当然に想定されるものである」とした上で、「指定管理者制度の下において、指定管理者による管理の対価としての指定管理料により、利用料金によって賄うことのできない経費を補填する場合があることは、当然に予定されており、仮に、本件各支払金が、本件管理業務に係る経費と本件施設の利用料金との差額の補填に充てられたとしても、それは、本件各支払金の性質が、本件管理業務の対価たる指定管理料であることと何ら矛盾するものではない」として、原告の主張を斥けている。
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