税務ニュース2024年05月17日 審判所、更正の請求可能な「判決」と判断(2024年5月20日号・№1027) 請求人の預金返還請求訴訟の判決は合理的根拠を欠くものと認められず
本件は、請求人が被相続人名義ではない預金を相続により取得したとして相続税の修正申告をしたが、当該預金に係る預金返還請求訴訟において請求人の請求を棄却する判決がされたことを受けて更正の請求をしたところ、原処分庁が預金は被相続人に帰属しないとはいえないとして、更正の請求を認めなかったことから、請求人が原処分の全部の取消しを求めた事案である。請求人は、本件判決は被相続人の相続財産の範囲を確認するための権利関係の帰属に関するものであるから、更正の請求は、通則法23条2項1号の「判決により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」に該当すると主張した。
審判所は、預金返還請求訴訟では各口座の預金者が被相続人であるか否かが争点とされ、各口座の預金者が被相続人であるとは認められない旨の判断が示され、その相続人である請求人の請求を棄却したものであると指摘。つまり、本判決は、各口座の預金者が被相続人であるとは認められない旨を認定し、修正申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実とは異なる事実を前提として、被相続人の相続人である請求人の預金返還請求権を否定するというものであるとした。
その上で本件判決が通則法23条2項1号に規定する要件に該当するか否かは、当事者が専ら納税を逃れる目的で、馴れ合いによってこれを得たなど、その確定判決として有する効力にかかわらず、その実質において、客観的、合理的根拠を欠くものであるか否かが問題になるとしたが、本件については、被相続人と各口座の名義人との関係は不明であり、各預金口座の預金の原資が被相続人の出捐によるものであると断ずることはできないことからすれば、本件判決が確定判決として有する効力にかかわらず、その実質において客観的、合理的根拠を欠くものであるとは認められないとした。したがって、本判決は、通則法23条2項1号の「判決」に該当し、また、「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」に該当するから、本件更正の請求は、同号に規定する要件に該当するとして原処分の全部を取り消した。
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