税務ニュース2024年05月17日 非居住者の還付加算金は国内源泉所得(2024年5月20日号・№1027) 課税当局、「その他の国内源泉所得」への該当可能性を示唆
確定申告書の提出による源泉所得税等の還付時には、いくばくかの還付加算金が付されることがある。居住者が受領する還付加算金は、雑所得として課税対象とされるのは周知のとおりだが、税理士等の間では、恒久的施設を国内に有しない非居住者が還付加算金を受領した場合も、所得税法上、申告対象とされる国内源泉所得に該当するのかという疑問が生じている。たとえば、非居住者が国内の土地等を譲渡する場合、その譲渡時に徴収されていた源泉所得税の一部が確定申告により還付されるケースが多い。土地の譲渡のような一度限りの確定申告に伴い付された還付加算金が、居住者のように再度確定申告が必要とされる国内源泉所得に該当すると、その還付加算金のために翌年も確定申告が必要となることも理論的にはあり得る。ただし、非居住者であっても原則48万円の基礎控除は適用可能であるため、還付加算金が基礎控除額を上回るようなことがなければ、実際の申告は不要ということが多いだろう。しかし、そもそも非居住者が受け取る還付加算金は国内源泉所得に該当し、申告が必要なのか、という点については明確にされていない。そこで本誌が課税当局にこの点を取材したところ、「国内源泉所得に該当するであろう」との考えを示しつつも、国内源泉所得について定める所法161条1項の第何号に該当する所得であるかは過去に問題となったケースがなく、「可能性としては17号その他の国内源泉所得に該当し得る」とのことであった。税理士等の間では、所法161条1項2号の「国内における資産の運用保有所得」に関する通達161-14で「国内にある供託金について受ける利子」が例示されていることから、源泉所得税等を供託金、還付加算金を一種の利子のように考えるのであれば、2号に該当するのではないかとの考えもあるが、課税当局としては2号所得とは考えづらいという見解を持っているようだ。2号・17号のいずれに該当するにせよ、非居住者であっても、所得税法上は申告が必要な国内源泉所得ということにはなろう。非居住者が多額の還付加算金を受け取るような事態が生じた場合には注意が必要だ。
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