税務ニュース2020年03月06日 国は譲渡人の立場での「低額譲渡」を強調(2020年3月9日号・№826) 最高裁、非上場株低額譲渡課税事案で国敗訴の高裁判決見直しへ
本件は、法人への株式の譲渡に係る譲渡所得の収入金額につき、被上告人ら(譲渡人の相続人)が、その譲渡における代金額である1株当たり75円として所得税の申告をしたところ、税務署長から、上記譲渡は所得税法59条1項2号所定の低額譲渡に当たるとして増額更正処分等を受けた(上記株式の譲渡の時における価額は2,505円とされた)ため、納税者がその取消しを求めた事案である。
東京地裁は、「(譲渡所得)課税の趣旨からすれば、(中略)その譲渡直前において元の所有者が所有している状態における当該所有者(譲渡人)にとっての価値により評価するのが相当」などと判示し、課税処分を容認した。
これに対し東京高裁は、「租税法の解釈は原則として文理解釈によるべき」「(株主区分の判定)については、その(評基通の)文言どおり、株式の取得者の取得後の議決権割合により判定されるものと解するのが相当である。」などと判示し、課税処分の大半を取り消した。これを受け国は、上告受理申立てを行っていた。
最高裁は、国の上告受理申立てを受理、本件の争点は「上記株式の譲渡の時における価額」であることを明確にしている。
3月3日に行われた口頭弁論で国は、「通達のいずれの要件も、当該株式を譲渡する直前において譲渡人が保有する状態に基づいて判定されるべきことは、資産の値上がり益を清算して課税するという譲渡所得課税の趣旨に照らして当然といえる」とこれまでの主張を強調した。
納税者の代理人は、高裁の判断の正当性を強調するとともに、主張が混同しないよう複数の代理人が「譲渡の時における価額は、買主の事情も考慮すべき」「利害相反する第三者間で成立した売買価額は税務上、原則として正常な取引条件で成立した適正価額(時価)として取り扱われるべき」さらに、「租税法が権利侵害規定となりうることから、課税庁による読み替えは租税法律主義の趣旨に反するもの」と、それぞれ分担して主張。課税庁とは対照的な口頭弁論となった。
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