カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2024年07月05日 一括払いされた費用の分割益金算入容認(2024年7月8日号・№1034) 支払請求権が順次確定する契約実態は変わらずとして全部取消し裁決

  • 国税不服審判所、コロナ禍において請求人が発注者から一括払いを受けた金型等の製作費用相当額を、24か月の分割での益金算入することを認め、更正処分を全部取消し(令和5年12月21日裁決、名裁(法・諸)令5第11号)。

 自動車部品の製造・販売等を行う請求人は、発注者から一括払いを受けた金型等の製作費用相当額を、部品の量産開始日から24か月の分割で益金の額に算入していたところ、課税庁が、当該費用は支払いを受けた時点で全額益金の額に算入すべきとして法人税等の更正処分を行ったことから、審査請求に及んだもの。
 審判所はまず、請求人が発注者との間で金型等の費用負担について定めた契約(本件金型等契約)は、①発注者から発注を受けた部品(以下「本件部品」)の製造に係る準備として金型等の製作を依頼された請求人がこれに応じて金型等を製作するという物の引渡しを伴わない請負契約、②発注者が請求人に委託した金型等の維持、管理に係る準委任契約、③請求人が製作した金型等について発注者に一定の権利を付与する権利設定契約に係る各役務を提供し、発注者から請求人に対し各役務の対価として金型等相当額を支払うことを内容とする契約、の混合契約であるとの解釈を示した。
 その上で審判所は、本件金型等契約の目的は、継続的に日々提供される上記各役務の提供であって、仕事の完成等を目的とするものではないこと、もともと請求人と発注者との間の本件部品の購買に関する基本契約において、金型等相当額は本件部品の量産開始日を含む月の翌月から24回の月額均等分割払いと定められていたこと等を総合的に考慮し、本件金型等契約の実態は、本件部品の量産開始日を含む月から24回にわたり毎月末日の経過でその支払請求権が順次確定する契約と認められ、コロナ禍の緊急支援策として金型等相当額が一括払いに変更された後も、当該契約の実態は変わらないと判断した。
 役務提供に係る契約に関連してその着手費用に充当する目的で相手方から一括払いを受ける費用等、中途解約のいかんにかかわらず取引の開始当初から返金不要な支払いを受ける場合について、法人税基本通達2−1−40の2は「原則としてその取引の開始の日の属する事業年度の益金の額に算入する」旨定めている。本裁決は、請求人が一括前払いを受けた金型製作費用について、契約解釈により、返金不要な着手費用ではないとして、24か月の分割で収益計上する処理を認めた点、注目される。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索