解説記事2024年12月02日 ニュース特集 税務CG、対象法人の拡大が秒読み段階に(2024年12月2日号・№1053)
ニュース特集
一般調査部門の取組(試行)本格化
税務CG、対象法人の拡大が秒読み段階に
調査部特官(特別国税調査官)所掌法人以外の法人への「税務CGの充実に向けた取組」の拡大を図る国税当局が、庁指示の下、調査部一般部門における当該取組の試行に本腰を入れているようだ。本特集では、令和6事務年度から調査部一般部門(調査第二部~第四部)の各調査総括課に「CG担当」を配置し、一般部門所掌法人に対して「特官所掌法人と同等の取組」を行っている東京国税局の試行、実地調査着手法人のうち東証プライム法人を対象に試行を実施している名古屋国税局の取組について、Q&A形式で紹介する。
Q
東京局の令和6事務年度における試行の内容は?
A
東京局は令和2事務年度から「税務CGの充実に向けた取組」の対象拡大に向け、調査部一般部門(調査第二部~第四部)が所掌する法人に対して当該取組の試行(税務CGの試行)を実施しています(本誌1018号特集参照)。令和6事務年度の税務CGの試行では、「特官所掌法人と同等の取組」が行われ(図1参照)、一般部門の各調査総括課には「CG担当」(統括官のフォローアップ等を担当)が新たに配置されています(図2参照)。


特官所掌法人と同等の取組では、特官CGと同じ評価書を使用し、調査法人に評価結果を伝達できる程度の評価(精緻な評価)が実施され(試行のため正式な「評価結果の通知」は行わない)、税務CG確認表の項目も前年の18項目から31項目に増加しています。また、トップマネジメントとの面談担当者は各部部長となります(令和5事務年度の試行では統括官が面談)。
Q
試行を目的とした調査事案の選定は行われますか。
A
試行対象法人は、実地調査を行う法人のうち「対象法人名簿」(調査管理課企画係から調査総括課CG担当に配布)に記載がある法人とされ、統括官には、試行を目的とした調査事案の選定は行わないことが周知されています。

なお、調査第二部~第四部の各調査部門で決定した試行対象法人については、CG担当が「試行対象法人リスト」(上記参照)を作成し、調査管理課の実務指導専門官(税務CG担当)に報告します。
Q
試行への協力要請はどのように行われますか。
A
統括官は調査着手後、早期の段階でCG担当とともに試行対象法人を訪れ、税務CG関係書類(国税庁HPの税務CGページに掲載されている書類等)を交付するとともに、税務CGの充実に向けた取組の趣旨説明、協力要請を行います。
趣旨説明の際、統括官は、①税務に関するコーポレートガバナンスの状況を把握・確認し、トップマネジメントと意見交換させていただく本取組(試行)は、税務コンプライアンスの維持・向上に向けた取組を推進する目的で行っているものであり、行政指導として実施していること、②現在、東京局調査部では特官が所掌する法人を対象に税務CGの取組を行っているが、本年は特官所掌の法人以外の法人に対しても同様の取組を試行することとした(試行のため正式な「評価結果の通知」は行わない)旨を伝えているようです。
Q
試行対象法人から協力が得られない場合の対応は?
A
上記の趣旨説明等を行った上で、試行対象法人に意向確認を行い、協力が得られない場合、試行は中止します。
協力が得られた(協力が期待できる)場合は、税務CG確認表の作成を依頼するとともに、確認表の作成に係る関係資料(社内規定・報告書・指示文書等)の提出も依頼します。
その後、提出された確認表の記載内容に基づき統括官とCG担当が、試行対象法人からヒアリングを行います。
Q
取組状況の評価はどのように行われますか。
A
試行対象法人からヒアリングを行った統括官は、必要に応じて関係資料や調査状況等の確認のため調査法人に臨場した上で、個別に確認した内容等を基に「仮評価関係書類」を作成します。仮評価関係書類は「税務CG評価書」「税務CG評価の検討要否判定表」「トップマネジメントとの面談担当者検討表」「トップマネジメントとの面談整理票」となります。
「トップマネジメントとの面談担当者検討表」の判定において、争訟見込み等があることから面談担当者が統括官となる場合は、各部部長とトップマネジメントの面談のための「トップマネジメントとの面談整理票」(次頁参照)は作成されないようです。
また、統括官が行った評価結果は、調査管理課実務指導専門官により評価書の「所見」欄の記載内容と評価結果が極端に異なっていないかなど整合性が確認され、見直しが必要な場合は、統括官が評価結果を修正します。なお、評価結果の判定状況は実地調査検討会等において各部部長に報告されます。
Q
トップマネジメントとの面談はどのように行われますか。
A
トップマネジメントとの面談を円滑に行うため、統括官とCG担当は面談前に試行対象法人の担当者(応答者)に事前説明を行います。担当者には、税務CG評価の内容(評価の高かった項目、低かった項目)について、評価に至った要因(評価の基となった各個別項目に係る取組内容に対する所見等)や参考となる取組事例(具体的な改善策)などを説明し、意見交換を行います。
トップマネジメントと各部部長との面談は原則として東京局内(部長室)で行われます。東京局側の出席者は、部長、次長、統括官の3名(CG担当が同席するケースあり)、法人側の出席者(面談予定者)は最大で4名までとされています。面談時間は20分程度(申告指導対象法人については、申告指導と面談を併せて実施)のようです。
トップマネジメントとの面談で各部部長は、評価が高かった項目についての内容を伝えるとともに、評価が低かった項目について有効な取組事例を紹介しつつ、改善事項などの意見交換を行います(下掲「トップマネジメントとの面談整理票」参照)。

Q
名古屋局の税務CGの試行について教えてください。
A
名古屋局は令和6事務年度の税務CGの試行における一般部門所掌法人(実地調査法人)へのアプローチとして、①実地調査に着手する法人のうち、東証プライム法人を対象として税務CGの充実に向けた取組の試行を実施する、②トップマネジメントとの面談については、原則、特官所掌法人と同様に部次長が行うこととし(前事務年度の試行では統括官が面談)、評価が低い項目について効果的な取組事例を紹介しつつ、意見交換を行うなど、法人自らが税務CGの充実に取り組むよう促すとしています。
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