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税務ニュース2024年12月06日 免除予定の被相続人の債務は控除不可(2024年12月9日号・№1054) 地裁、免除益に所得税課税も「確実と認められる」債務とはいえず

  • 東京地裁、相続により承継した債務のうち相続開始後に免除された部分について、相続税の課税価格の計算上、「確実と認められるもの」と言えず控除できないと判断(令和6年11月28日判決)。

 本誌972号では、相続により承継した債務のうち、相続開始後に免除された債務免除益に対して所得税が課された処分が適法とされた事案についてお伝えしたが、本件は、相続税の課税価格の計算上、当該債務を「確実と認められるもの」として控除することの可否が争われた事案である。
 東京地裁はまず、「確実と認められるもの」(相続税法14条1項)の意義について、「当該規定の趣旨は、その債務の弁済に必要な資金を課税対象外として相続人に留保させ、担税力に配慮した公平な課税を行うためであり、存在が確実な債務であっても、その性質上、相続人が履行するとは限らず、必ずしも相続人ないし相続財産の負担とならないものは、原則として、控除すべき債務の対象から除かれなければならない」との考えを示し、「確実と認められる」債務とは、債務が存在するだけでなく、その履行が確実と認められる債務を意味するとした。
 その上で、本件債務は、本件和解の債務免除条項により、期限の利益を喪失することなく本件支払条件に従って分割金の支払がなされた時には免除されるものであり、相続開始時においては、分割金の残額が合計100万円であったから、当時の原告らの財産状況によれば、上記残額の支払義務の履行は容易であったと認められるとした。
 そして、以上のことから、本件債務は、近い将来に本件和解の債務免除条項に基づいて本件銀行から免除されることにより、その履行がされない可能性が極めて高かったといえるから、相続税法14条1項にいう「確実と認められるもの」には当たらないと結論づけた。
 相続人である原告らは、相続税法14条1項の規定を文理解釈すれば、「確実と認められる」か否かを検討すべき対象は「債務」、すなわちその存在であるなどと主張したが、これに対し東京地裁は、「相続税法14条1項の文理解釈として原告らの主張のものしかあり得ないとまではいえず、また、同項の前提となる同法13条1項1号は『被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの』と規定しており、『現に存するもの』という形で、債務の存在を表す文言を別に明記しているから、少なくとも同法14条1項の『債務』が、その存在(又は成立)のみを意味するものであるとは解し難い」などとして、その主張を斥けている。

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