会計ニュース2024年12月06日 譲渡先がSPC、金融資産の消滅範囲は(2024年12月9日号・№1054) 企業会計基準諮問会議、「貸付金」を含むかASBJにテーマ提言
財務会計基準機構(FASF)の企業会計基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)は12月3日、譲受人が特別目的会社(SPC)である場合の金融資産の消滅範囲の明確化を行うよう、企業会計基準委員会(ASBJ)に提言した。
現行の金融商品会計基準で第9項(2)の(注4)では、金融資産の消滅の認識要件について、譲受人が一定のSPCの場合には、当該SPCが発行する「証券」の保有者を金融資産の譲受人とみなして消滅の要件を適用するとされている。しかし、全国銀行協会によれば、「証券」の定義の解釈が監査法人の間で分かれているため、その明確化が必要としている。(注4)を捕捉する金融商品会計実務指針第40項では、SPCの「証券等」の一部又は全部を譲渡人が保有することとなる場合に、当該保有部分についての譲渡はなかったものとみなされる旨記載があり、「証券等」として、「信託の受益権、組合の出資金、株式、会社の出資金、社債、劣後債等」が例示されている。「等」との記載から限定列挙ではないが、この「証券等」が企業会計における有価証券とみなされるものを指すのか、あるいは、SPCによる資金調達手段全般を指すのかは定かではない。
全国銀行協会では、仮に「証券等」の定義が前者であれば、リスク・リターン等における経済実態としては差がないにもかかわらず金融資産の消滅の範囲に差が出ることが考えられることから、「証券等」の定義は後者の資金調達手段全般を指し、借入金等も含まれるものとしている。
企業会計基準諮問会議の事務局では、(注4)は、SPCの場合、金融商品会計基準第9項(2)の要件の評価にあたって、SPCが発行する「証券」の保有者を譲受人とみなすとしており、貸付金は明示されていないが、SPCに流入するキャッシュ・フローが投資のリターンの原資となる点については、証券も貸付金も違いはないと指摘。その上で、実務に広範な影響があるとはいえないとし、企業会計基準委員会にテーマ提言をしないとの分析結果を示したが、同諮問会議の委員からは、金融機関だけでなく、一般の事業会社にも影響があるとの意見のほか、日本の会計基準で採用している財務構成要素アプローチによれば、貸付金を含めてよいのか明確ではないとの意見があり、同委員会に対して、実務対応報告の開発を提言することとなった。
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