税務ニュース2025年07月18日 電子データ移行中はタイムスタンプ不要(2025年7月21日号・№1083) 国税庁が見解 今後は円滑なシステムの乗り換えが進む可能性
電子帳簿保存法上、電子取引データの保存に当たっては、①タイムスタンプが付されたデータを受領する、②受領後速やかにタイムスタンプを付す、③保存する取引データの訂正削除履歴が残るシステム又は訂正削除不可のシステムを使用して取引データの授受・保存を行う、④訂正削除の防止に関する事務処理規程の策定、運用、備付けを行う−−のいずれかの要件を満たす必要がある。通常、①~④のいずれかを満たすのは難しいことではないと思われる。問題となるのは、システムをリプレースする場合だ。現在使用しているシステムの単なるバージョンアップであればデータは引き継がれるため特に問題は生じないが、より使いやすい他社のシステムに入れ替えるといったシステムリプレースでは、旧システムから電子取引データを取り出し、新システムに当該データを移行する必要がある。そして、この際にも①~④のいずれかの保存要件を満たさなければならない。しかし、例えば「②受領後速やかにタイムスタンプを付す」ことで保存要件を満たしてきた場合、システムの移行期間中はタイムスタンプを付すことができないため、保存要件を満たさないこととなってしまう。
こうした中、国税庁が令和7年6月27日に改訂した「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」問92により、データ移行時にはタイムスタンプを引き継ぐなどの対応ができない場合でも、システムを必要としない保存要件である上記④の訂正削除の防止に関する事務処理規程の策定、運用、備付けを行うことにより、移行期間中も保存要件も満たすことになる旨が明らかとなった。いわゆるベンダーロックイン状態に陥るとともに、保存要件を充足できるかとの懸念がネックとなり他社システムへの乗り換えを躊躇する企業もあったが、今回国税庁の見解が明らかになったことにより、今後は円滑な乗り換えが進みそうだ。
なお、システムリプレースに当たり、編集(見積りから決済までの取引情報を、取引先、商品単位で一連のものに組み替える、又はそれらの取引情報の重複を排除する)過程で取引内容を変更することは、「合理的な方法」により編集したものとは解されず、真実性の確保の要件を満たさないものとなる点、注意したい(電子帳簿保存法取扱通達7−1(4))。
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