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税務ニュース2025年07月18日 副業の社労士業務、事業所得に該当せず(2025年7月21日号・№1083) 東京高裁、副業の赤字と給与所得との損益通算は不可

  • 東京高裁、副業として行っていた社労士業務の事業所得該当性を認めず、赤字を給与所得と損益通算できないとした地裁判決を支持(令和7年7月10日判決)。

 原告・控訴人は、3社の勤務先から給与を得るとともに、社会保険労務士業務を副業として行っていた。
 一審のさいたま地裁は、そもそも社会保険労務士法において作成や保存が義務付けられている帳簿は作成されておらず、本件業務による個別の売上金額やその相手方を確認することができない以上、申告された売上金額が正確であるか定かでないと指摘。また、仮に正確であるとしても、売上金額に比して著しく多額の経費を要しており、営利性が極めて乏しいといわざるを得ず、また営業活動や広告活動も勤務先の保険事務所の顧客に対するものが大半でその効果は限定的であり、業務拡大、収益改善のための取組みもあまり見られず、原告は勤務先からの給与所得によって本件業務の経費の大半を補填していたこと等を踏まえれば、本件業務は営業面でも経理面でも事業実態に乏しい空疎なものであって、それ自体で安定的な収益を発生させるような独立した業務とは評価できないと判断した。
 これを不服とした控訴人は、営利性がないこと以外は最高裁(昭和56年4月24日第二小法廷判決)による事業所得の定義にに該当するから、事業所得に該当すると主張した。裁決が事業所得該当性は否定したものの「有償性、反復継続性及び物的設備」など一部を認めた点(本誌1020号40頁参照)を意識した主張と見られる。
 東京高裁は、上記最判の説示は判断の一応の基準とされており、一般的な法規範を示すものではないとした上で、仮に、最判の説示を踏まえた解釈を行うとしても、控訴人の本件事業が営利性を有するといえないことは明らかであり、この点をもってしても事業所得該当性は否定されるとの考えを示した。また、本件事業では主たる生計費を賄っていると推認できる給与所得の大半を費やして補わなければ継続し得ないほどの損失が少なくとも5年連続で計上されているのであって、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務であるとはいい難いというべきであり、上記定義に照らしても事業所得に該当するとは認め難いとした。
 副業の赤字を使った節税スキームについては当局が目を光らせており、令和4年10月7日の所得税基本通達の改正で300万円基準や帳簿保存要件が導入されているが、そもそも社会的通念上の基準を満たしているのか、慎重に判断する必要があろう。

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