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会社法ニュース2025年08月01日 虚偽記載巡り海外機関投資家の請求棄却(2025年8月4日号・№1085) 地裁、実質株主である原告らは金商法所定の「取得した者」に該当せず

  • 東芝の有価証券報告書等の虚偽記載をめぐり、東芝に対して損害賠償を請求していた海外機関投資家らの訴えが棄却される(東京地裁令和7年7月17日判決)。
  • 東京地裁は損害賠償請求権がある「取得した者」(金商法21条の2①)を名義株主と解釈、実質株主である海外機関投資家らは「取得した者」に該当しないと判断。

 本件は、原告である海外機関投資家が被告東芝に対して、被告東芝が公表した有価証券報告書等に虚偽記載等があったため、実質株主として取得した被告株式の価額が下落して損害を被ったなどと主張して、金商法21条の2第1項に基づく損害賠償を請求していた訴訟である。
 海外機関投資家による被告株式の購入は、資産管理銀行であるカストディアン(今号42頁参照)を通して行われていた。カストディアンは、海外機関投資家から預託された資金をもとに被告東芝の振替株式を取得し、その振替株式の振替口座簿上記録としてはカストディアンから指名を受けた登録名義人の名義が登録されていた。そしてカストディアンの帳簿上にはその株式が海外機関投資家の資産であることが記録されるほか、海外機関投資家はカストディアンを通じてその株式にかかる議決権を行使し、配当等を受け取っていた。海外機関投資家は、損害賠償請求権の主体たる「取得した者」(金商法21条の2①)とは、振替口座簿に株式の増加記録を受けた名義株主をいうのではなく、株式の取得を決定し、その資金を実際に支出した実質株主をいうと解すべきであると指摘したうえで、海外機関投資家は振替株式である被告株式の実質株主であるから有価証券報告書等の虚偽記載等により生じた損害について金商法21条の2第1項に基づき損害賠償請求をすることができる旨を主張していた。
 東京地裁は、株式振替制度の下で振替株式を取得し、その権利の確定的な帰属主体となると認められるのは振替口座簿に増加記録を受けた加入者、すなわち名義株主であるとされていることからすれば「取得した者」は名義株主をいうと解するのが素直な理解というべきであるとした。また、金商法の他の規定との整合性も踏まえれば、金商法21条の2第1項に基づく「(振替株式を)取得した者」とは名義株主を意味すると解するのが相当であって、名義株主でない者がこれに含まれると解することは相当でないといわざるを得ないとした。そして、名義株主ではない海外機関投資家は「取得した者」に当たるとは認められないと判断したうえで、損害賠償請求を棄却した。

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