税務ニュース2025年08月08日 GPUサーバーが新たな節税商品に(2025年8月11日号・№1086) マイニングマシン同様、中小企業経営強化税制上の即時償却狙う
本誌1061号「マイニングマシン節税、完全封じ込めへ」でお伝えした通り、暗号資産マイニング設備を利用した即時償却は令和7年度税制改正で封じ込められ、節税商品としての役割を終えている。こうした中、最近それに代わる“次”の節税商品として注目されているのが、GPUサーバーだ。GPUサーバーを用いた節税商品は、暗号資産マイニング設備によるものと同様、納税者である法人がGPUサーバーを購入して事業の用に供し、中小企業経営強化税制で認められている即時償却を行うことで、課税所得を圧縮することを狙いとしている。具体的には、購入したGPUサーバーをデータセンターに設置し、その計算能力を必要とする顧客に提供するという事業を営むことで、GPUサーバーについて生産性向上設備(A類型)としての認定を受けることになる。目覚ましい発展を遂げる生成AIにはGPUの並列処理能力等が不可欠とされているため、節税メリットとは別に、事業自体の収益性も見込まれるという。
GPUサーバーを取得した法人は、それを賃貸するのではなく、あくまで自ら事業を行う必要がある。しかし、購入者自身にそのような知見があるとは考えにくく、実際には、GPUサーバーの販売会社やその関連会社等と委託契約を交わし、事業遂行に必要な業務を委託することになる。GPUサーバー事業の“すべて”を委託可能であることを謳う販売業者もあるようだ。この点、中小企業経営強化税制の対象範囲を定める現行の中小企業等経営強化法及び同施行規則には、GPUサーバー運営事業について、コインランドリー業のように管理の“おおむね全部”を委託する場合に適用対象外とする規定や、暗号資産マイニング業用設備のようにそもそも適用対象外とする規定は存在しない。
コインランドリー業や暗号資産マイニング業用設備について上記のような制限が加えられた改正経緯を知る税理士等からは、「流行すればまた税制が改正され、即座に封じ込められるだけであり、いたちごっこに過ぎない」という声がある一方で、将来税制改正による規制が行われるまでは実行可能な節税商品であるとの見方もある。節税商品に対するスタンスによって、その評価は分かれることになりそうだ。
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