税務ニュース2025年08月08日 未接触法人が調査対象に選定されやすく(2025年8月11日号・№1086) 高まるKSKシステムへの依存度、決算期に関係なく調査対象を抽出
国税局・税務署では令和7事務年度が開始し、コロナ前と同水準又はそれ以上の調査件数が各調査部門で計画されている。調査対象法人の選定におけるKSKシステムへの依存度は高まっており、KSKシステムが抽出した問題点を選定理由として各法人に通知した上で調査に着手する流れとなっている。こうした中、法人を設立してから5年以上が経過しており、1度も実地調査に着手していない「未接触法人」は特に調査対象に選定されやすくなっている。また、以前は決算期を考慮して調査対象法人が選定されていたが、最近はKSKシステムにより抽出された法人であれば決算期に関係なく、調査の優先度が高い場合にはすぐにでも着手する方針がとられている模様。国税当局の異動直前の6月の調査通知も8月又は9月決算法人に向けたものが少なくないようだ。
KSKシステムにより調査事案を選定することで、これまで選定事務に要していた時間を調査経験の浅い職員への指導に充てることもできる。調査件数を確保するため、国税局の各主務課は、調査経験3年目以下の職員を対象に局署一体となって育成に力を入れているようだが、近年は調査官の硬直的な対応を疑問視する声が税理士等からも聞かれる。例えば源泉所得税について、支払先が既に確定申告を済ませており、かつ金額が小さいにもかかわらず、源泉徴収および納税するよう調査官に求められた事例が本誌取材により把握されている。この場合、調査法人は支払先から源泉所得税を徴収して納付しなければならないが、実務上は調査法人が立替えて納付し、その後何らかの支払いの際に相殺することになろう。一方、支払先は源泉徴収がされていない状態で確定申告を行っているため、源泉徴収されることに伴い、更正の請求を行う必要がある。税務署が減額更正処理を行えば更正の請求は不要となるが、支払先と調査法人の所轄税務署が異なる場合、減額更正処理にも相当の時間を要することになる。また、法人の所得金額に比して極めて少額な交際費に係る非違について、統括官の指示事項の通りに是正を求めてくるといった事例も報告されている。
Z世代の調査官も増える中、税務調査のスタイルも変化していくことになりそうだ。
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