会社法ニュース2020年05月15日 全計算書類のWEB開示が可能に(2020年5月18日号・№834) コロナ対応で省令改正、決算・監査作業に2週間の猶予を捻出
東証の集計(4月30日時点。以下同)によると、新型コロナウイルス感染症の影響で上場企業(以下、「企業」)のうち260社程度が事業年度末から45日を超えて決算・四半期決算を発表するとしており、決算発表日を未定とする企業も160社に上る。こうした中、金融庁は開示府令を改正し、有価証券報告書、四半期報告書の提出期限を9月30日まで延期したほか、金融庁・法務省・経済産業省は継続会(会社法317条)の開催に関する指針を公表、当初日程通り株主総会を開催して役員の選任などを行い、継続会で計算書類等の報告を行うことを提案している。東証によると、継続会の開催を検討している企業は85社ある。
一方、基準日を変更し、定時株主総会の開催を遅らせることを決定した企業も9社あるが(東証の調査による。このうち配当基準日を変更した企業は3社、残り6社は取締役会で配当決議の授権を行っている企業か無配企業)、多くの企業は当初日程通り定時株主総会を開催しようとしている。こうした中、政府は5月12日、会社法施行規則および会社計算規則(以下、省令)の改正を決定し、①事業報告の記載事項のうち「当該事業年度における事業の経過及びその成果」(会社法施行規則120条1項4号)及び「対処すべき課題」(同項8号)、②貸借対照表及び損益計算書をWEB開示の対象とした。計算書類については全てがWEB開示の対象とされることになる。事業報告の上記2項目は、いずれも計算書類と関連のある記述が含まれるものとなっている。本改正は時限措置であり、本改正省令の施行日である5月15日から「6か月以内」に招集手続を開始する株主総会に提出する事業報告及び計算書類が対象となる。
株主総会招集通知の送付とともに書面により計算書類等を株主に届けるためには、印刷・封入・送付作業に最低2週間程度を要する。今回、計算書類等がWEB開示の対象となったことで、この約2週間を決算作業・監査作業に回すことができる。ただし、WEB開示の対象となる計算書類は、会計監査報告に無限定適正意見が付されていることなどが条件となる。
なお、WEB開示を行うには定款の定めが必要だが、既にWEB開示を行っている企業は定款変更手続きは不要とされる。
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