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解説記事2020年05月18日 SCOPE 継続会開催の4社は株主総会で先行して剰余金の配当決議(2020年5月18日号・№834)

新型コロナ影響下における株主総会の最新動向
継続会開催の4社は株主総会で先行して剰余金の配当決議


 新型コロナウイルス感染症の拡大防止による影響で決算や監査業務のスケジュールの遅れが懸念されている中、金融庁に設置された「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」(以下、連絡協議会)が選択肢の1つとして示した継続会を実際に開催する会社が現れた。5月8日にJASDAQ上場のNKKスイッチズは海外の連結子会社の決算業務等が滞った影響により、計算書類の報告等は7月以降に開催する継続会で行うと公表している。今回、継続会を開催する会社が出てきたことで、現在継続会の開催を検討している会社に対して少なからず影響を与えそうだ。

金融庁や法務省、継続会開催の留意事項を示す

 連絡協議会は4月15日、新型コロナウイルス感染症の拡大防止による影響下における定時株主総会の運営に関し、当初予定した時期に定時株主総会を開催し、取締役の選任等を決議するとともに、継続会において計算書類、監査報告等の説明を行うとする方法を選択肢の1つとして示している(本誌832号4頁参照)。当初予定の定時株主総会で取締役の選任等や剰余金の配当決議を行えば、基準日を変更する必要はなく、継続会にも当初の株主が出席することができる。継続会については、従来も認められた会社法上の制度だが、これまで開催された事例が少ないことから、金融庁、法務省、経済産業省は連名で4月28日に「継続会(会社法317条)について」と題した継続会を開催するに当たっての留意事項を公表した(参照)。

【表】継続会(会社法317条)について(抜粋)

第2 各論
1 継続会開催の決定

  当初の定時株主総会の時点で継続会の日時及び場所が確定できない場合、これらの事項について議長に一任する決議も許容される。
  この場合において、継続会の日時・場所が決まり次第、事前に株主に十分な周知を図る。
2 取締役及び監査役の選任
  そもそも取締役及び監査役の選解任は、株主総会の権限(329条1項、339条1項)であることは言を俟たないところ、当初の定時株主総会における円滑な意思決定を確保するためには、確定した計算書類は提供されていないものの、既に公表した四半期報告等を活用して、この一年間の事業の概況、新任の経営者に求められる役割等について丁寧な説明を行うことが求められると考えられる。
  なお、任期が今期の定時株主総会の終結の時までとされている取締役及び監査役について、当初の定時株主総会の時点において改選する必要があるときは、当該時点をもってその効力を生ずる旨を明らか
にすることが考えられる。
3 剰余金の配当
  当初の定時株主総会において剰余金の配当決議を行う場合、当該行為の効力発生日が2020年3月期の計算書類の確定前である限り、最終事業年度(2条24号)である2019年3月期の確定した計算書類に基づいて算出された分配可能額の範囲内において行うことができる(461条)。
この場合において、2020年3月期の計算書類の確定はなされていないものの、決算数値から予想される分配可能額にも配意することが有益であると考えられる。
4 合理的期間
  当初の定時株主総会と継続会の間の期間については、関係者の健康と安全に配慮しながら決算・監査の事務及び継続会の開催の準備をするために必要な期間の経過後に継続会を開催することが許容されると考えられ、許容される期間の範囲について画一的に解する必要は無い。もっとも、その間隔が余りに長期間となることは適切ではなく、現下の状況にかんがみ、3ヶ月を超えないことが一定の目安になるものと考えられる。
5 事務遂行の在り方
  本件に関する決算や監査業務の遂行は、当該業務に携わる者の安全と健康に十分に配慮しながら適切かつ合理的に遂行していくことが求められるところ、決算や監査実務の遂行に当たって書面への押印を求めるなどの慣行は見直されるべきである。

前期に基づく分配可能額の範囲内
 このような状況の中、NKKスイッチズ、アネスト岩田、パイオラックス、エヌリンクスの4社は継続会を開催する旨を公表している(5月12日現在)。新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴い決算作業が確定していないことによるものであり、6月末に定時株主総会を開催し、日時は未定ではあるものの7月以降に継続会を開催するとしている(エヌリンクスは2月決算のため、5月末に総会、6月以降に継続会)。4社とも、定時株主総会において取締役等の選任を行うとともに先行して剰余金の配当決議を行うとしている。そのほか、継続会ではないが、ダイセルは決算手続が完了しないことから定時株主総会を6月19日に開催し取締役等の選任及び剰余金の配当決議を行った上で、改めて臨時株主総会を開催する旨を明らかにしている。
 連絡協議会の「継続会(会社法317条)について」では、当初の定時株主総会で剰余金の配当決議を行う場合、当該行為の効力発生日が2020年3月期の計算書類の確定前である限り、最終事業年度(会社法2条24号)である2019年3月期の確定した計算書類に基づいて算出された分配可能額の範囲内において行うことができるとしている(会社法461条)。
 今回、継続会を開催する会社が実際に出てきたことで、他の継続会の開催を検討している会社の心理的なハードルも少し下がることになりそうだが、議決権行使助言会社の最大手のISSは、継続会を開催する会社が提案する剰余金処分議案には、賛成でも反対でもなく棄権票の「投票」を推奨するとしているので留意したい。
株主総会延期は19社
 そのほか、基準日を変更し、定時株主総会の延期を明らかにしている会社は19社(東芝、スカパーJSATホールディングス、ブロードメディア、ナンシン、サンデンホールディングス、サンリツ、JDI、日本板硝子、オリンパス、ワイズテーブルコーポレーション(2月決算)、レオパレス21、音通、三城ホールディングス、昭和ホールディングス、リプロセル、プレステージ・インターナショナル、凸版印刷、フォーバル、フォーバルテレコム)となっている(5月12日現在)。

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