税務ニュース2026年06月26日 婚姻費用分担義務の範疇でも贈与課税も(2026年6月29日号・№1128) 令和6年高裁判決は贈与課税回避の“免罪符”にならず
東京高裁令和6年12月12日判決(1063号参照)は、内縁の夫(Y)が内縁の妻(X)に「婚姻から生ずる費用」として6年間で合計1.8億円の金員(本件各金員)を支払った場合でも、婚姻費用分担義務(民法760条)の履行にすぎないときは贈与税の課税対象に当たらないとの一般論を示した。その上で、本件各金員が生活費・教育費のほか、ブランド品購入(5,029万円)、エステサロン費用(404万円)、海外旅行費用(2,628万円)、国内旅行費用(805万円)に充てられていても、YとXの収入や資産等に応じた暮らし振りからみて婚姻費用の範囲を格別に外れないなどとして、同義務の履行に当たると判示した。これを受け、一部の専門家の間では、調査で「妻が購入した高額な宝飾品やブランド品の取得資金を夫(被相続人)が出捐していた」と指摘されても、婚姻費用分担義務の履行であると主張すれば贈与税又は相続税を免れられるとの認識が広がっている。しかし、同判決は具体的な事実関係に基づいて婚姻費用該当性を個別に判断したものであり、妻の固有財産となる高額な宝飾品等の取得資金まで当然に婚姻費用に含まれるとしたものではない。
令和6年高裁判決は、夫婦間で婚姻費用の具体的内容を書面等により定めていない場合、財産移転が婚姻費用分担義務の履行か贈与かは、移転に至る経緯、額や頻度、夫婦の収入・資力、当事者の認識、移転後の使途などを踏まえて判断すべきとした。また、夫婦間の財産移転が租税回避に利用される危険性にも触れ、外形上は婚姻費用分担義務の履行の体裁を採っていても、給付が不相当に過大又は目的外と認められる場合には贈与に当たるとの法令解釈を示した。その上で本件については、本件各金員の相当部分が、住民登録がなく預金口座を開設できないYのために使用されたものと推認されることなどから、多額の資産を有するYから収入のないXへの給付は不相当に過大又は目的外とは認められないと判断した。つまり、Y自身が本件各金員を自ら費消していたことなどを理由に、婚姻費用の目的外使用等ではないと判断したということだ。したがって、妻が購入した高額な宝飾品やブランド品の取得資金を夫が妻に与えていた事実があれば、夫婦間で宝飾品等の取得が婚姻費用の範疇であると合意していても、贈与税等の課税対象となる。
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