税務ニュース2026年06月26日 最高裁、債務免除益の二重課税巡り判決(2026年6月29日号・№1128) 債務相続後に生じた債務免除益は非課税所得に当たらず
所得税法(令和3年改正前)9条1項16号(以下「本件規定」)では、「相続……により取得するもの」を非課税所得とする旨を規定している。本件の最高裁における争点は、相続により承継した借入金債務の債務免除益に係る経済的利益に所得税(一時所得)を課すことが本件規定に反するか否かである。この点に関し最高裁第三小法廷(沖野眞已裁判長)は令和8年6月23日、債務免除により相続人である納税者が受ける経済的利益は本件規定の非課税所得には当たらず、経済的利益に所得税を課すことが本件規定に反するということはできないと判断したうえで、債務免除益への所得課税は本件規定に反し許されないとして納税者全面勝訴とした原審判決を破棄して本件を東京高裁に差し戻す判決を下した。
最高裁は、相続後に債務免除の効力が生じたのであるから相続人である納税者がこれによる経済的利益を相続等により取得したということはできないと判断した。そして最高裁は、債務が「確実と認められるもの」(相法14①)に当たらず債務控除の対象にならなかったとしても、相続後に債務が消滅することによって生ずる経済的価値に対して相続税が課されるものではないから、その経済的利益に所得税を課すことは同一の経済的価値に対して相続税と所得税とを二重に課すものとはいえず、本件規定の趣旨に反するものではないと判断した。
なお、最高裁判決では沖野眞已裁判官と平木正洋裁判官の補足意見、石兼公博裁判官の反対意見が付されている。裁判長を務めた沖野眞已裁判官は、多数意見は本件規定の適用について判断したものであって、本件における相続人の債務免除益の所得該当性について肯定・否定いずれの判断もしたものではないとした。また、平木正洋裁判官は、原判決の考え方は経済的価値の観点からみても問題があり、採用することができないとした。これに対し石兼公博裁判官は反対意見で、本件において債務免除による経済的利益に所得税を課すことは本件規定に反し、課税処分は取り消されるべきであるとした。本件については、差戻し控訴審における審理の行方も大きな注目を集めることになりそうだ。
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