税務ニュース2026年08月21日 国外扶養は送金関係書類以外の立証不可(2026年8月24日号・№1135) 送金が事実上困難でも明文の例外規定なし、高裁も別の方法を認めず
納税者(イラン国籍である居住者)は、国外居住親族を扶養控除の対象(37名分で扶養控除の額は1,466万円)として令和2年分の所得税等の確定申告書を提出していた。これに対し税務署は、納税者と生計を一にすることを明らかにする法令所定の送金関係書類(現行法では所規47の2⑧一)が提出又は提示されていないとして扶養控除を否認する課税処分を行った。これを不服とした納税者は、国外居住親族のうち本件対象者が控除対象扶養親族に該当すると主張して課税処分の取り消しを求める訴訟を提起するに至った。納税者は、経済制裁によりイラン国内の銀行に国際送金をすることは事実上不可能であったことなどを指摘したうえで、送金関係書類がなくとも別の方法で扶養の事実を立証すれば扶養控除を受けることができるものと解すべきであると主張した。この主張に対し一審の東京地裁は、平成30年11月以降は国送法に規定される金融機関を通じてイランへ国際送金をすることは事実上困難であったことが認められるとした。しかしその一方で、送金関係書類の提出が事実上困難である場合に別の方法で証明することを可能とする規定は置かれていないことなどを踏まえれば、送金関係書類以外のものによって立証することが許容されるべきであるということはできないと判断した。そのうえで、送金関係書類の添付等がされていないから本件対象者が納税者と生計を一にするものであることを認めることはできないと判断して控除対象扶養親族には該当しないと結論付けていた(本誌1099号40頁参照)。この一審判決を不服とした納税者は控訴を提起していたものの、控訴審である東京高裁は一審判決を支持する判決を下していたことがわかった。東京高裁は、明文の例外規定がないにもかかわらず、別の方法による証明を認めることは平成27年改正(国外居住親族に係る扶養控除の要件確認の適正化)の趣旨を没却しかねないと指摘。国際情勢の変動に伴う不可抗力的な事態に対して税制上いかなる措置を講ずるべきかについては、立法府による政策的判断に委ねられるべき事柄であると指摘したうえで、納税者の控訴を棄却した(高裁判決で確定済み)。
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