税務ニュース2026年10月23日 一括取得土地建物の鑑定評価額は合理的(2026年10月26日号・№1143) 東京地裁、固定資産税評価額では反映できない個別要因等ありと判断
- 地裁、一括取得した土地建物につき、固定資産税評価額では反映できない個別の要因等があるため鑑定評価額による按分を合理的と判断(令和8年10月14日判決)。
本件は、原告が一括取得した土地建物について、固定資産税評価額の価額比を基に算定した建物価額を課税仕入れに係る支払対価の額として消費税等の申告をしたところ、鑑定評価額の価額比を基にした建物価額によるべきとして更正処分等を受けたことから訴訟に至った事案である。
東京地裁は、本件建物Aを賃借していた銀行が退去予定で新たな賃借人が決まっていなかったこと、本件テナント銀行が賃借していた部分は、1階から4階まで一体利用が可能な銀行特有の構造となっており、頑丈に作られていた点を指摘。これらの事情により、本件建物Aは、①一般的な事務所建物と比べ、再調達原価が高くなる一方で、②本件テナント銀行の退去に伴い賃料収入が大幅に減少することが見込まれ、かつ、賃貸市場汎用性に劣り、収益性の不安定さや費用負担が顕在化することとなったこと、また、③当時、建物の価格及び商業地域における土地の取引価格は上昇傾向にあったものの、商業地域にある土地の公示価格の水準は、実際の取引価格の水準よりも低額となっていたなどと認定した。
これらの点から東京地裁は、本件においては、固定資産評価基準によるのでは適切に反映されない、価格に影響し得る個別の要因等があるため、固定資産税評価額を基に按分する方法が必ずしも合理的な方法とはいえないとの考えを示した。
一方で、本件鑑定評価については、前記①から③の各事情を適切に考慮したものであり、また、不動産鑑定評価基準に沿った適正なものということができるとした。
さらに、本件鑑定評価額建物比率と本件固定資産税評価額建物比率、及び本件物件の鑑定評価額と固定資産税評価額とが大きく乖離していることに加えて、本件売買契約の代金額が本件鑑定評価額と近似していることからも、本件においては、本件鑑定評価額による価額比を用いて本件物件価格を按分する方法により、本件各建物に係る課税仕入れの支払対価の額を算定するのが基本的に合理的であるとの判断を下した。
ただし、本件鑑定評価額には消費税等相当額が含まれていないから、本件物件価格を、本件鑑定評価による本件各建物の価格にその消費税等相当額を加算した金額と本件鑑定評価による本件土地の価格との比率で按分することにより、本件各建物の課税仕入れに係る支払対価の額を算定するのが相当として、原処分を一部取り消した。
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