会社法ニュース2026年10月23日 相場操縦課徴金を高裁も適法と判断(2026年10月26日号・№1143) 取引時期や方法等重視、大引け前30秒の大量買い注文に誘引目的認める
香港ファンドである原告・控訴人は、平成25年9月25日午後2時59分30秒から午後3時までの30秒間に本件株式について合計約920万株の買い注文を成行又は直前約定値より相当な高指値により連続的に行った。これにより本件株式の価格は6,690円から7,540円へと高騰してストップ高となった。この本件取引に対し金融庁は、相場操縦の禁止(金商法159②一)に違反したとして、課徴金約7億円の納付を命じる旨の決定をしていた。
本件訴訟の争点は、本件取引に誘引目的(金商法第159条第2項柱書き)があったか否かという点であった。この点に関し原審の東京地裁は、原告には人為的な操作を加えて相場を変動させる意図があったものと認められ、本件取引は誘引目的をもって行われたものと認めることができると判断したうえで、課徴金納付命令決定は適法であると結論付けていた(原審判決の詳細は本誌1097号40頁参照)。
原審判決を不服とした控訴人は、本件取引に際して大きなマーケット・インパクト(売買注文が市場価格に与える影響)が生じたのは値がさ株である本件株式が日経平均構成銘柄に新規採用されたことに起因する制度的な理由によるものであって、控訴人の取引の時期や方法等によるものではないと控訴審で主張した。これに対し東京高裁は、本件株式がいわゆる値がさ株であり、その流動性に対してインデックス・ファンドによる買い需要が大きくなることが予測されていたことから、銘柄入替えが市場への影響が大きいイベントとして市場関係者の間で注目されていたことは認められるとした。しかし、その一方で東京高裁は、市場関係者の認識によっても、本件取引日の大引け前30秒間にストップ高になるほど株価が高騰することが当然に予想されていたとは認められないと指摘。大引け前30秒間に生じた株価の高騰や本件取引に際して生じた大きなマーケット・インパクトの原因について、本件取引の時期や方法等を度外視し、本件株式が値がさ株であることにあるとは認められないという判断を示した。そのうえで東京高裁は、金融庁による課徴金納付命令は適法であると判断して控訴人の控訴を棄却する判決を下した。
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