税務ニュース2020年05月29日 コロナ休業中の家賃≠災害損失欠損金(2020年6月1日号・№836) 災害損失欠損金の繰戻し還付制度の適用対象外に
緊急事態宣言が5月25日に解除されたが、経済活動が以前の水準に戻るまでにはまだ時間を要する可能性が高い。特に飲食などの事業者に重くのしかかっているのが家賃負担だ。5月27日に閣議決定された第2次補正予算により売上が大幅に減少した事業者の家賃を支援する「家賃支援給付金」(42頁参照)が創設されるが、家賃全額が給付されるわけではなく、事業者にとって必ずしも十分とは言えないだろう。
こうした中、自粛要請を受け休業していた期間の家賃は、現行法人税法上の災害損失欠損金の繰戻し還付制度の対象になるのかとの疑問がある。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策には、青色欠損金の繰戻し還付制度を「資本金1億円超10億円以下の法人」にも適用する税制措置が盛り込まれたが、これとは別に、現行法人税法には、災害損失欠損金の繰戻し還付制度がある(法法80条⑤)。しかし、自粛要請を受け休業している間の家賃は同制度の適用対象外であることが本誌取材により確認されている。これは、定義規定(法令154条の3④)上、「自粛要請を受け休業している間の家賃」は災害損失欠損金に該当するとは読めないため。災害損失とは、「災害により当該資産が滅失し、若しくは損壊したこと又は災害による価値の減少に伴い当該資産の帳簿価額を減額したことにより生じた損失(取壊し又は除去の費用その他の付随費用に係る損失を含む)」「土砂その他の障害物を除去するための費用、当該資産の原状回復のための修繕費、当該資産の損壊又はその価値の減少を防止するための費用、当該資産に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための費用に係る損失」などとされており、休業中の家賃はこのいずれにも該当しない。
一方、「飲食業者等の食材の廃棄損、感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損、施設や備品などを消毒するために支出した費用、感染発生の防止のため配備するマスク・消毒液・空気清浄機等の購入費用、イベント等の中止により廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損」などは災害損失欠損金の繰戻し還付制度の適用対象となる(財務省HP参照)。
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