税務ニュース2020年06月12日 事前通知欠くも重大な違法には該当せず(2020年6月15日号・№838) 東京高裁、「加算税処分の取消原因は重大な違法を帯びる場合に限定」
一審で瑕疵ある税務調査手続に基づく課税処分は違法であると主張した控訴人は、控訴審で以下のとおり補充主張を行った。
①加算税が一種の行政制裁的な性格を有すること等に照らすと、行政機関が自らミスをしていながら、納税者に対して行政機関として制裁を科すことが許されるかどうかという観点から判断されるべきである。
②通則法65条5項の「調査」と同法24条の「調査」とを同一に解するのは適切ではなく、本件では、事前通知が行われていないため、質問検査権等の権限を有しない者が行った行為は、適法な実地の調査といえず、通則法65条5項の「調査」に当たらないというべきである。事前通知の欠如は、極めて重大なミスであり、高度の違法性を帯びているというべきである。
控訴人の主張に対して、判決は以下の判断を示したうえで、請求を棄却した。
①過少申告加算税の制度趣旨等を十分考慮したとしても、税務調査の瑕疵が過少申告加算税の賦課決定処分の取消原因となるのは、その税務調査の手続が重大な違法を帯びる場合に限られるものと解するのが相当である。そして、この点については、控訴人の指摘する点を踏まえて検討しても、問題となる課税処分が本税のものであるか加算税のものであるかにより異なる解釈を採るべき根拠があるとはいえない。
②本件の事実関係の下では、事務官が行った本件非違事項指摘等は、事前通知を欠いていたことを考慮しても、通則法65条5項の「調査」に当たると認められる。事務官が関与税理士に対して事前通知をしたこと、事務官が控訴人の本店を訪問した際、控訴人代表者及び関与税理士らがその場におり、両名が事務官に対して控訴人への事前通知を欠いていることを指摘しなかったこと、本件非違事項等が関与税理士らの立ち会う中で行われた等、原判決指摘の事情に照らすと、本件非違事項指摘等が調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を確保するという事前通知の趣旨を著しく没却する状態で行われたとはいえず、控訴人に対する税務調査の手続において控訴人代表者への事前通知を欠いたことが、重大な違法を帯びるものであったとはいえない。
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