会社法ニュース2020年07月17日 相場操縦禁止違反で課徴金、国逆転勝訴(2020年7月20日号・№843) 東京高裁、別会社のトレーダーも投資会社と同一体と判断
本件は、相場操縦の禁止に違反したとして、金融庁から課徴金2,106万円の納付命令の決定を受けた被控訴人である投資会社(セレクト・バンテイジ)が、本件決定が認定した違反事実に係る取引をしたのは被控訴人ではないと主張して、その取消しを求めた事件である。
原審の東京地裁では、投資会社(原告)に各トレーダーに対する指揮監督、雇用管理等の権限はなく、個々のトレーダーの採否も別の会社が判断して行っていたことを踏まえると、本件各トレーダーは投資会社(原告)の従業員と同視することはできないと指摘。各対象取引が相場操縦違反行為に該当するか否かの判断をするまでもなく、違反者になり得ない投資会社(原告)に対し課徴金の納付を命ずるものであり、違法であるとしていた(本誌809号40頁参照)。
控訴人である国は、トレーダーの雇用には、被控訴人である投資会社の確認等が必要であり、トレーダーが所属する会社のみの判断で雇用することはできなかったとしたほか、トレーダーを被控訴人ではなく別会社に所属させていたのは、被控訴人の種々の責任回避が目的であったなどと主張した。
東京高裁(近藤昌昭裁判長)は、形式的には被控訴人とエリート・バンテイジは別個の法人格を有しているが、業務活動の態様に照らせば、エリート・バンテイジはバンテイジ・グループに属する被控訴人の有価証券取引による資金運用にかかる業務のうち一部を担うものとして設立され、そのトレーダーによる取引もバンテイジ・グループに属するトゥルー・ノース・バンテイジの役職員の監視、監督下にあるというものであるから、エリート・バンテイジの運営はそれ自体独立しているものではなく、バンテイジ・グループ全体で一体として行われていると認められるのが相当であるとした。
したがって、東京高裁は、被控訴人とエリート・バンテイジとは実質的に同一体であるというべきであり、エリート・バンテイジが雇用したトレーダーが行った被控訴人の証券口座に関する取引行為が金商法174条の2第1項に違反する場合には、被控訴人がその違反者となるというべきであるとの判断を示し、被控訴人の主張を斥けた。
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