会計ニュース2020年10月02日 LIBOR停止後もヘッジ会計の継続可(2020年10月5日号・№852) ASBJ、「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」を公表
企業会計基準委員会は9月29日、実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」を公開草案から一部修正した上で(本誌850号40頁参照)、公表した(公表日以後から適用可)。LIBORの公表が2021年12月末で恒久的に停止される見通しが高まっていることを踏まえたもの。実務対応報告では、今回の金利指標改革に起因するLIBORの置換は企業からみると不可避的に生じる事象であるため、ヘッジ会計を継続して適用できるとの特例的な取扱いを定めている。
金利指標置換前については、金利指標改革に起因する契約の切替が行われたときであってもヘッジ会計の適用を継続することができるとしている。ヘッジの有効性の評価は、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する金利指標は既存の金利指標から変更されないとの仮定を置いて事前テストを実施することができるとしたほか、事後テストにおいてはヘッジ有効性が認められなかった場合であってもヘッジ会計の適用を継続できることとした。また、金利指標置換時においては、ヘッジ会計開始時にヘッジ文書で記載したヘッジ取引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続できるとしている。
金利指標置換前にヘッジ会計を適用していた場合、金利指標置換時以後に事後テストに関する特例的な取扱い(実務対応報告第8項)を適用し、ヘッジ会計を2023年3月31日以前に終了する事業年度まで継続することができるとした。この取扱いを継続している間は、再度金利指標を置き換えたとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができるとしている。これは、LIBORの公表停止が予定されている2021年12月末から概ね1年間を想定したものとなっている。
実務対応報告の適用を選択した企業は、実務対応報告を適用しているヘッジ関係について、①ヘッジ会計の方法(繰延ヘッジか時価ヘッジか)並びに金利スワップの特例処理及び振当処理を採用している場合にはその旨、②ヘッジ手段である金融商品の種類、③ヘッジ対象である金融商品の種類、④ヘッジ取引の種類(相場変動を相殺するものか、キャッシュ・フローを固定するものか)を注記することが求められる。また、実務対応報告を一部のヘッジ関係にのみ適用する場合は、その理由を注記する。
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