税務ニュース2020年10月09日 カフェテリアプランを巡る裁決で取消し(2020年10月12日号・№853) 審判所、財形メニューがあることをもって換金性があるとはいえず
本件は、カフェテリアプランにおける人間ドック等補助メニューに係る経済的利益が給与課税されるか否かが争われた事案である。請求人の被合併法人E社では、使用人に対する福利厚生の一環として設けたカフェテリアプランにおける人間ドック等補助メニューに係る経済的利益は給与等として課税されない経済的利益に当たるとしていたところ、原処分庁が当該プランにおいてE社が使用人に付与するポイントには換金性があるとことから経済的利益はその全てが給与課税されるとして源泉所得税等の納税告知処分等を行ったものである。
国税庁の質疑応答事例「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」の回答によれば、カフェテリアプランの中に何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できたり、自由に品物を選択できるなどのメニューがあったりする場合には、金銭を給付するのと同様とみられるため、すべての経済的利益が課税対象になるとされている。この点、審判所も当該取扱いは相当であるとした。
その上で審判所は、本件プランは①各使用人が本件各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬に比例して異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められず、②本件財形メニューは、一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められず、③財形メニュー以外の各メニューについても一定の条件を充足しなければ補助等を受けられないものであり、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではないと指摘した。
したがって、審判所は、本件プランはポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランであるとは認められず、各経済的利益は使用人が選択したサービスの内容に応じて課税対象となるかを判断することになるとして、請求人には人間ドック等に係る経済的利益について源泉徴収義務はないとの判断を示し、原処分の全部を取消した。
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