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税務・会計2012年09月27日 相続税の非課税財産とされる「庭内神し」の敷地等の取扱いの変更 執筆者:水口清一

 平成24年6月21日の東京地方裁判所(平成22年(行ウ)第494号)の確定判決を受けて庭内神しの敷地等に係る相続税の非課税規定の取扱いの変更内容が、国税庁HPの相続税・贈与税質疑応答事例において公表されています。
 相続税法12条1項2号において「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」は非課税財産として規定されており、墓所、霊びょうの範囲には、墓地、墓石等のほか、その敷地も含まれると定められています(相基通12-1)。
 そして、「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいい、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものは含まれないと定められています(相基通12-2)。
 なお、「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされています。
 従前は「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、庭内神しの移動可能性を考慮すれば、その敷地が当然に「これらに準ずるもの」に含まれ非課税財産であるという取扱いはされていませんでした。
 しかし、上記判決の一部を引用すると、「確かに、庭内神しとその敷地とは別個のものであり、庭内神しの移動可能性も考慮すれば、敷地が当然に「これらに準ずるもの」に含まれるということはできない。しかし、説示した本件非課税規定の趣旨並びに「墓所」及び「霊びょう」の解釈等に鑑みれば、庭内神しの敷地のように庭内神し等の設備そのものとは別個のものであっても、そのことのみを理由としてこれを一律に「これらに準ずるもの」から排除するのは相当ではなく、当該設備とその敷地、附属設備との位置関係や当該設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、当該設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上での当該設備及び附属設備等の機能の面から、当該設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備も当該設備と一体の物として「これらに準ずるもの」に含まれるものと解すべきである。」と判示しています。
 要約すると、「「庭内神し」の敷地やその附属設備については、一定の要件の下で相続税の非課税財産に該当する。」ということになります。
 ただし、非課税財産に当たるかどうかの判断に際しては、変更後の取扱いの対象範囲は限定的で、屋敷内にあるものについての取扱いの変更はないことに注意が必要です。
 実務においても、納税者から、「庭内神し」の敷地の財産性は事実上ないと思われるのに、どうして相続税の非課税財産にならないのかという疑問の声があがっていましたので、その意味で納税者感覚に近い判決であると受け止める方は多いのではないでしょうか。
 一般的に、相続税・贈与税の特例の適用に当たっては、特例の趣旨を踏まえた適用要件の十分な検討及び他の特例との関連性を総合的に判断することが重要ですが、納税者の方は特例の恩恵に目が向かいがちで視野の狭い自己に有利な判断をすることが見受けられますので、特例適用要件を判断する前提の事実を正確に把握する必要があります。
 また、世の中の状況変化によって特例適用要件等の解釈が変更されますので、実務家は常に勉強を続け、最新の情報を基に特例適用判断に当たる必要があると思います。

(2012年9月執筆)

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