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民事2012年05月10日 契約書の巧拙 借地借家法の適用されない契約書の場合 執筆者:多比羅誠

1.契約書の作成の基本

 契約書を作成する目的は、後日、トラブルが生じ、訴訟になった時に証拠とするためです。相手が「そんな約束をしていない」と言った時に、書類にしておかないと、本当に約束したかどうか、第三者である裁判所にはわからないからです。契約書を作る場合、後日、証拠として役に立つように、約束したことをすべて記載しておくことが重要です。類似の契約書の書式をいくつも見て、その中から、自分に有利な条項をピックアップして記載することもよい方法です。

2.公正証書にすべきか

 公正証書にするメリットは、次の3点です。
①公正証書は、確定日付なので日付は正確で、偽造変造のおそれはありません。
②公正証書の原本は、公証役場で20年間保存し、紛失しても再発行してもらえます。
③金銭の支払いを目的とした公正証書は判決と同じ効力があり、訴訟をせずに、すぐ強制執行することができます。金銭消費貸借契約や債務の分割弁済契約などは、公正証書にするとよいです。
 しかし、土地や建物の貸借契約の場合には、公正証書で作成しても、相手が契約に違反したときには、訴訟を起し、勝訴判決を得ないと明渡しや引渡しの強制執行をすることができませんから、あえて公正証書にする必要はありません。

3.借地借家法の適用されない契約の注意点

 駐車場・資材置場のための土地貸借契約、一時使用目的のための土地や建物の賃借契約、土地や建物の使用貸借契約などは、原則として借地借家法が適用されません。借地借家法が適用される土地や建物の貸借契約は契約期間が定められていたり、更新が容易にできたり、簡単に契約解除ができないなど、借主保護を優先しています。
 しかし、借地借家法の適用のない契約の場合、そのような制限なく、契約内容を当事者間で自由に定めることができます。自由に決定できるということは、契約書を作成する人によって、契約書の巧拙が生ずることになります。法律の認める範囲内で、自分の有利な契約内容にすることが重要です。そのためには、作成する契約書に関する判例を知っておくことです。

4.店舗賃貸借契約と駐車場契約の失敗例

 A社はBから店舗を15年間の約束で借家契約し、隣地をCから客用の駐車場として賃借し、ドラックストアを経営しておりました。6年経過後、Cから駐車場契約を解除されてしまいました。駐車場がないと、売上げは激減することは明らかで、経営の危機に陥ってしまいました。駐車場契約ですから、借地借家法の適用がありません。5年間の契約で1度更新したのですが、契約書には1か月前に予告すると、中途で契約解除できる定めになっておりました。
 A社は駐車場契約をする際に、隣りの店舗賃貸借契約と同じ15年間の契約にし、隣の店舗の駐車場とする目的を明記し、かつ途中で解除できないように定めるべきだったのです。

5.立体駐車場契約の失敗例

 Xは、立体駐車場ビルを建設し、ファミレスを経営するY社に、20年契約で一棟貸しいたしました。Y社は5年後、経営不振のため、そのファミレスを閉店し、Xとの立体駐車場契約を解除する旨通知が来ました。立体駐車場ビルは、Y社向けに建築したため、容易に次の借主は見つかりません。立体駐車場契約の賃貸期間は15年間となっておりますが、3か月前に予告すると期間中でも解除できる規定が入っております。それが失敗でした。中途解除を禁止すべきだったのです。

(2012年5月執筆)

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