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税務・会計2012年03月26日 消費税は本当は誰が負担しているのか 執筆者:田中義幸

 サラリーマン社会という言い方をあまり聞かなくなったが、日本がサラリーマン社会であることはまだ変わっていないはずだ。平成18年に日本人の85%がサラリーマンだという調査があったが、その後この割合になにか大きな変化があったとは聞いていない。
 サラリーマンは、税制から見ると給与所得者という一点で共通している。そして、税制に対する貢献度という観点からみた場合、サラリーマンの税制に対する貢献度は絶大である。まず、給与に対する源泉所得税を毎回正確にきちんきちんと支払って、国の財政を支える安定的な財源になっているのが一つ。もう一つは、商品やサービスの最終消費者として消費税を負担しているとされていることだ。たしかに、サラリーマンは買い物やら飲食をしたときに消費税を支払う。その消費税が巡り巡って国に納められるので、消費税を負担しているということになっているのだが、本当にそんな理解で間違いないのだろうか。
 消費税というのは、そもそも不思議な税である。消費税の納税義務者として消費税を国に納める会社や個人事業者などの事業者は消費税を負担しておらず、納税義務者でも何でもないサラリーマンなどの消費者が消費税を負担しているとされているからだ。なぜそうなるかというと、事業者は消費者から預かった消費税と支払った消費税の差額を納付するか還付を受けるか、いずれにしても自身の負担が生じないように完全に精算されるのに対して、消費者は消費税を支払うだけで預ることはないからだ。表面的に見ると、たしかに消費者が消費税を負担し、事業者は負担していないように見える。しかし、本当にそうだろうか。
 サラリーマンが支払った消費税がどのような仕組みで国の懐に入るか、そのメカニズムをよく見てみよう。事業者は商品やサービスを売って預った消費税から、仕入をしたときに支払った消費税を引いて差額を国に納めることになっている。なぜ差額が生じるかというと、消費税がかかっていない仕入があるからである。この消費税がかかっていない仕入は何かというとほとんどが人件費、つまりサラリーである。
 事業者が国に消費税を納めるのはサラリーを支払って、その支払いには消費税がかからないものとして引けないからである。煎じつめると、国に納められている消費税はサラリーの分ということになる。問題はその消費税を誰が負担するかである。
 もしここで消費税が5%上がるとして、その5%分をサラリーに上乗せしたとしよう。そうするとこの5%分は預った消費税から引けないので、事業者が負担することになる。サラリーマンは5%上乗せしたサラリーをもらうので5%分を負担したことにならない。しかし、もしサラリーに5%分の上乗せがなかったとすると、サラリーマンは5%分の消費税を自身で負担することになる。つまり、サラリーに消費税分が含まれているかどうかで、どちらの負担になるかが決まってくるというわけである。
 これから消費税が上がると、その分の負担を誰がすることになるのか。大きな問題である。

(2012年3月執筆)

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