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民事2010年03月09日 法曹人口の増加と若手弁護士の事件処理 執筆者:永塚良知

 平成22年2月5日に日弁連の会長選挙が実施された。今回の選挙の最大の争点は「法曹人口問題」であり、その結果が再選挙という前代未聞の事態に至ったことは、周知の事実である。それだけ「法曹人口問題」に対する弁護士の関心の高さを物語っていると言えよう。
 一連の司法改革により、法曹人口が増加し、ロースクール制度が始まるなど、ここ数年で我々弁護士を取り巻く状況は様変わりしている。本来、社会の隅々まで法の支配を浸透させるという崇高な理念の下に行われた改革のはずであったが、理念通りに機能していないように思えてならない。何処に原因があるのか、理念を貫くためにどのように改善すべきか、いろいろな立場から種々の議論がなされているが、未だに試行錯誤がなされているのが現状であり、日弁連会長選挙の再選挙という事態もその現れであろう。
 私自身、弁護士会内の活動において、若手弁護士達と接する機会が多いが、志を持って法曹の道に進んだ若手弁護士が誇りをもって職務に専念できる環境を整えるために、何ができるだろうかということを常々考えてきた。
 「交通事故」は、従前より弁護士の取り扱う分野の典型の一つであり、弁護士であれば誰でも相談や事件を依頼されたことがあるであろう。ことに最近は、弁護士費用も保険対象とする弁護士特約がついた保険商品が販売されるなど、弁護士が活躍する場面がより一層増えていくのではないかと思われる分野である。そこで、主に若手弁護士を対象として、交通事故事件処理のマニュアル書を編集、執筆することになった。
 下記に紹介のある書籍「交通事故事件処理マニュアル」は、分野こそ「交通事故」とはなっているが、事件の受任から終結までのプロセスに従って解説を加えている点で、他の分野の事件処理にも応用が効くようになっている。また、「交通事故」は、刑事事件でもあるので刑事事件の処理についても解説を加えた。さらに、ここ1年で懲戒処分事案が急増していることに鑑み、職務を行うにあたり注意しなければならない弁護士法及び弁護士職務基本規程の解説も盛り込んでいる。
 「交通事故」と言っても特殊な分野ではない。証拠に基づいて事実認定を行い、認定された事実がどのような法的な評価を受けるのかを考えながら事件を処理するという点では、他の分野の事件処理と全く変わらない。若手弁護士がどのような手順で事件処理を行えばよいかを分かりやすく解説するという我々の趣旨が伝われば幸いである。
 なお、交通事故については、(財)日弁連交通事故相談センター本部の「青本」、同センター東京支部の「赤い本」が損害賠償額算定の基準として用いられている。本書と共に随時ご参照されたい。

(2010年3月執筆)

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