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厚生・労働2008年02月25日 就業規則等の見直しを 労働契約法の施行を契機にメンタルヘルス対策の観点から 執筆者:岩出誠

 近年の雇用環境の変化に伴い、従業員のストレスは年々急速に増加傾向にあります。労働者健康状況調査によれば、強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は、1997年以降、全体の6割を超える水準に達し、自殺者数は、1998年以降、10年連続で3万人を超えており、この一因として「うつ病」を中心とする気分・感情障害の患者数の激増との関連性が指摘されています。
 例えば、毎年記録が更新されている、中学・高校教員の精神障害発症とこれに伴う休職の急増もこれに関連し、うつ病などメンタル上の疾患による休職は61%を占めています。一般の企業においても事情は大差ないでしょう。
 メンタルに絡んだ休職に対する企業の対応としては、①休職に入る前の会社指定医の受診義務や業務軽減措置と降給・降格等の処遇、②解雇猶予措置としての休職命令前の会社指定医の受診義務、③休職中の病状報告義務、④復職期間満了時又は復職時のリハビリ勤務の位置づけ、医療情報開示と会社指定医への受診義務、⑤復職後の処遇などに関する就業規則の整備が不可欠です。
 しかし、各企業において、それらの整備を行うに当っては、労働契約法の安全配慮義務(5条)と就業規則の合理性要件(同法9条ないし11条)を考慮する必要がありますのでご留意ください。すなわち、就業規則の改正や新たな諸規程の作成に当っては、労働契約法7条に基づく合理性の吟味と、同法10条に基づき、改正に当っての不利益変更への該当性の点検と該当する場合の合理性判断要素充足の有無の点検を行う必要があります。
 また、マスコミ報道されているように、この合理性の点検は単純ではなく、ケース毎に判断が異なるため、専門家の意見を踏まえつつ行うことが必要です。

(2008年2月執筆)

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