カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

一般2021年01月19日 特別企画:新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年12月) 出典:帝国データバンク

新型コロナにより、企業の20.3%で業態転換の予定あり
~業績へマイナスを見込む企業、再び8割近くに~

はじめに
 新型コロナウイルスの感染者数の再拡大にともない、一部の地域では、外出自粛や営業時間の短縮などの要請が相次いでいる。また、政府は2020年12月14日に、観光支援の各種施策を全国で一斉に一時停止する考えを表明し、同年12月28日から停止した。他方で、政府の成長戦略会議では、事業の継続が難しくなった中小企業に対し業態転換や新分野への進出などを促す新たな補助制度を整備する方針が示されている。
 そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年12月調査とともに行った。
※調査期間は2020年12月16日~2021年1月5日、調査対象は全国2万3,688社で、有効回答企業数は1万1,479社(回答率48.5%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で11回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は79.9%(前月比0.1ポイント増)。2カ月連続で8割目前の水準で推移した。他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は4.2%(同0.1ポイント減)となり、前月とほぼ同水準となった
2.『マイナスの影響がある』を業種別にみると、「旅館・ホテル」が94.3%で最も高い。以下、「飲食店」(91.9%)、「パルプ・紙・紙加工品製造」(91.7%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」、「広告関連」、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(ともに90.3%)が続く
3.『プラスの影響がある』は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が39.6%で4割近くにのぼった。次いで、「放送」(17.6%)、「飲食料品小売」(15.4%)、「飲食料品・飼料製造」(12.4%)、「教育サービス」(11.5%)が上位に並んだ
4.新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、事業の業態を転換する『予定がある』企業は20.3%。とりわけ、経営戦略として「すでに転換している」が2.1%となった。一方で、「予定がない」とする企業は72.2%であった
1.業績へマイナスの影響を見込む企業は79.9%、2か月連続で8割目前の水準で推移
 新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は79.9%(前月比0.1ポイント増)となった。2カ月連続で8割目前の水準で推移している。
 また、「影響はない」とする企業は12.0%だった。『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)は4.2%(同0.1ポイント減)で、前月とほぼ同水準となった。
 業種別にみると、『マイナスの影響がある』と見込む企業は、「旅館・ホテル」が94.3%でトップ。次いで、「飲食店」(91.9%)、「パルプ・紙・紙加工品製造」(91.7%)が続いた。「飲食店」においては、忘年会などの年末特需の減少から4カ月ぶりにマイナスの影響を見込む企業が増加した。
 また、『プラスの影響がある』と見込む企業は、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」が39.6%で4割近くにのぼった。以下、「放送」(17.6%)、「飲食料品小売」(15.4%)などが上位に並んだ。企業から「プレミアム商品券の受注による売り上げ増加」(印刷、東京)といった声が聞かれ、厳しい業界内であっても、新型コロナウイルスの影響で生じた新たな需要を獲得し売り上げ増加を図る企業も現れている。
2.企業の5社に1社で、事業の業態転換の予定がある
新型コロナウイルス感染症の拡大が契機となり、事業の業態転換を行う予定(可能性)があるか尋ねた1ところ、業態転換の『予定がある』2は20.3%となり、5社に1社はすでに転換済みか転換する可能性あるいは検討していることがうかがえた。とりわけ、経営戦略として「すでに転換している」が2.1%となり、企業からは「GIGAスクール関連業務の事業拡大によるプラスの影響がある」(ソフト受託開発、群馬県)といった声があげられた。
 また、「クリーンブース設置工事に関する仕事が大幅に増えた」(配管工事用付属品製造、愛知県)というように、期せずして「すでに転換している」が2.3%となった。
 他方、「予定していない」(72.2%)は7割超であった。企業からは「転換は考えていないが、業務の見直しと強い体質に改善するための努力を重ねていく」(警備、静岡県)といった前向きな声があがる一方で、「業態転換する資金やノウハウがない。計画も立てられない」(各種機械・同部分品製造修理、愛媛県)といった声も聞かれた。
 業種別にみると、業態転換の『予定がある』は、「飲食店」が45.2%で最も高く、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(35.9%)や「紙類・文具・書籍卸売」(34.0%)が上位に並んでいる。
 「予定していない」では、「免許事業のため業態の転換ができない企業体であり、公共性を踏まえ事業維持のための支援をお願いしたい」(ラジオ放送、岩手県)といった意見も聞かれた「放送」が94.1%で最も高い。次いで「再生資源卸売」(90.9%)、「医療・福祉・保健衛生」(89.9%)、「建材・家具、窯業・土石製品製造」(81.2%)、「農・林・水産」(79.2%)が続いた。

本調査で想定している事業の業態転換は、「本業の転換」(本業は自社の売上額の最大構成事業)とし、以下の選択肢を用意した
 ・「(経営戦略として)すでに転換している」:自社が自らの意思で業態転換を図っている。
 ・「(期せずして)すでに転換している」: 自社の意思とは関係なく、図らずも事業の最大構成が変化している
 ・「今後、転換する可能性がある」:(現時点では変化がないが)今後事業の最大構成が変化する可能性がある
 ・「転換を検討している」:業態転換を模索している段階
2業態転換の『予定がある』は、「(経営戦略として)すでに転換している」「(期せずして)すでに転換している」「今後、転換する可能性がある」「転換を検討している」の合計
まとめ
 本調査の結果、新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込む企業は、2カ月連続で8割目前の水準で推移した。
 観光支援の各種施策の一時停止や一部地域での休業・営業時間短縮などで低調となった年末特需などにより「旅館・ホテル」や「飲食店」などで厳しい状況となった。一方で、プラスの影響を見込む企業は、外食産業に関係する企業や酒類を扱う企業では難しい状況下となったが、内食需要が後押しとなり、スーパーマーケットなど飲食料品を扱う業種を中心に好調となった。加えて、新型コロナウイルスの影響で生じた新たな需要を獲得し売り上げを増加させている企業も現れている。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大が契機となり、5社に1社は、事業の業態転換を行う予定があるとしており、なかでも企業の4.4%はすでに業態転換を行っていた。他方、7割超の企業は、業態転換の予定はなく、既存事業の強化を進めるといった声があがったほか、資金やノウハウがないことが障害となっている様子も浮き彫りとなった。
 2021年1月7日、政府より1都3県に2度目の「緊急事態宣言」が発出された。さらに、1月13日には、大阪府や愛知県、福岡県など7府県を加え、対象地域を11都府県に拡大するなど、再び国民生活や経済活動に深刻な影響を与えると予想される。しかしながら、急拡大している新型コロナウイルスの影響に歯止めをかけるため、政府・企業・国民が一体となり、それぞれに求められる対策・対応に取り組むことが肝要であろう。
  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索