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民事2022年11月06日 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)に明記すべき内容と締結する際の留意点は  



 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)に明記すべき内容と締結する際の留意点はどのようなものでしょうか。

 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)では、委任事務の範囲、対象財産の範囲、身上保護に関する事項、委任事務の報告に関する事項などを明記する必要があります。
解 説
1 委任事務の範囲
 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)は私的な契約であり、委任事務の範囲は個別の契約によって定まります。
 そのため、ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)では、委任事務の範囲を定める必要があります。そして、受任者が委任事務の範囲内で実効的な財産管理を行うためには、当該財産管理について代理権を持つ必要がありますから、委任事務の範囲内の事務について、受任者が代理権を有する旨も明記する必要があります。
 具体的には、任意後見契約を締結する際に用いられる、任意後見契約に関する法律第3条の規定による証書の様式に関する省令附録第1号様式(チェック方式)、又は附録第2号様式(代理権を全て記載する方式)などを参考にして代理権目録を作成し、同代理権目録記載の事務を委任する旨を定める方法などがあります。
2 対象財産の範囲
 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)は私的な契約であり、財産管理の対象となる財産の範囲は個別の契約によって定まります。
 そのため、ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)では、受任者に財産管理を委ねる対象財産の範囲を定める必要があります。
 この点、例えば、本人において、ほぼ全ての財産の管理を受任者に委ねるのではなく、特定の預貯金口座については本人自身で管理し、その他の預貯金口座について受任者が管理するという方法も可能です。
 なお、対象財産の範囲を定めるに当たっては、契約時の財産のほか、契約後の増加財産の扱いについても定めておく必要があります。
3 身上保護に関する事項
 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)は、主として財産管理を目的とする契約になりますので、財産管理に関する条項が中心となります。しかし、高齢者の場合には、財産管理が日常生活と密接に関わることが多いため、身上保護の観点からは、財産管理に関する条項を定めるだけでは不十分です。
 そのため、介護契約その他の福祉サービス利用契約等に関する事項や、医療に関する事項を委任事務の範囲に含めるなど、身上保護面についても、本人のニーズを適切に反映した契約内容にする必要があります。
 また、ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)は、主に身体的能力の低下がある高齢者等が本人として想定されていること、継続的契約であるため、本人の置かれた状況やニーズが時間の経過とともに変化していくことなどから、本人との間の定期的な面会(見守り)等についても定めておく必要があります。
4 委任事務の報告
 ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)は、民法上の委任契約(民643)又は準委任契約(民656)となりますので、受任者は、本人に対し、善管注意義務に基づく報告義務を負います(民644・645)。
 そのため、委任事務の定期的な報告とその方法についても定める必要があります。
 なお、委任事務の報告は、原則として本人に行うことになりますが、本人に信頼のおける親族等がいる場合には、本人への報告と併せて当該親族等へ報告することを契約内容とすることにより、職務の適正さを客観化する方法もあります。
 また、ホームロイヤー契約(見守り及び財産管理)を締結するに当たって、監督機関を設ける場合には、当該監督機関に対する報告とその方法についても定める必要があります。
 なお、監督機関は、弁護士等に限らず委任者の親族や福祉関係者も候補と考えられます。実効的な監督機関を置くことで、本人にとってより信頼性が高まるでしょう(モデル契約書式集58頁参照)。

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