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2023年02月28日 インボイス制度導入における買い手側の実務的な対応 執筆者:鈴木早人

 インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者以外から行った課税仕入れには一定の制限がかかります。直近になって慌てることのないよう、事前に十分な情報と体制整備を行っておかなければなりません。今回は「インボイス制度導入における買い手側の実務的な対応」について書きたいと思います。

 ①支払先がインボイスの発行事業者か否かを確認する方法

  売上高が年間1,000万円を明らかに超えていると想定される事業者については、インボイス発行事業者になると想定されますので、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録状況の確認ができます。
 インボイス発行事業者の登録申請が完了している事業者は、このサイトで事業者名や登録番号、登録年月日等が公表されています。この登録番号は、法人の場合には「T+法人番号」で検索できますが、個人事業主の場合には支払先から登録番号の通知が来ない限り検索することは困難です。

 ②免税事業者に対して課税事業者へ転換するように要請することは可能か?

  取引先の事業者に対して、課税事業者への転換を要請することは問題ないと考えられます。実際に課税事業者になるか否かは取引先の判断になりますので、課税事業者への要請が直ちに買い手の優越的地位の濫用や下請法違反になる可能性は低いでしょう。
 しかし、取引の打ち切りを示唆して、インボイスの発行事業者への登録を強制的に求めることは、優越的地位の濫用や下請法に抵触してしまう可能性があると考えられます。
 買い手側としては、これまで控除できていた消費税ができなくなると、税負担が増加するため、免税事業者との取引が多い場合には対応に困るでしょう。しかし、免税事業者側もこれまで免除されていた消費税の納税義務が発生し、かつ消費税申告についての事務処理の負担も増えるため、課税事業者への転換を否定的にとらえる事業者が多いと考えられます。
 このような実情を踏まえた上で取引の打ち切りを示唆した一方的な通告を行うことは、立場の弱い下請業者等を保護するための独占禁止法における優越的地位の濫用や、下請法に抵触する可能性があります。
 買い手側が、売り手である免税事業者へ課税事業者への転換を要請する際は、あくまでも相手の任意の判断に委ねることが上記の法律に抵触しないポイントになりますのでご留意ください。この結果として、課税事業者への転換に応じられなかった場合には、今後の免税事業者との取引において増加する経済的負担の分配を目標として、今後の取引価格の引き下げを求める等の対応が考えられます。

 インボイス制度のスタートまであと、半年余り、課税事業者・免税事業者を問わず、スムーズな制度移行への対応を実現するために、新制度への理解を深め、早め早めの対応を心がけていただければと思います。



<プロフィール>

鈴木早人
税理士(税理士法人Bricks&UK沖縄事務所)・行政書士(行政書士法人Bricks&UK)

平成28年4月 税理士法人Bricks&UK 名古屋事務所 入社
令和3年7月 税理士登録
令和3年8月 税理士法人Bricks&UK 沖縄事務所へ所長として移籍
令和4年9月 行政書士登録
現在に至る。税理士・行政書士として、中小企業の経営サポートに従事している。

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