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2023年08月28日 労働条件の明示ルールが変わります 執筆者:三谷文夫

 労働契約を締結する際、使用者(企業)は、労働者に対して、労働条件を明示する必要があります。この明示のルールが、労働基準法施行規則の改正により、令和6年4月から変更になります。今回は、変更の内容と企業の対応について解説します。

改正内容は4つ 特に有期労働契約に注意

(1)現在は、「採用した時点」での就業場所と業務の内容を、労働条件通知書あるいは労働契約書(以下、「労働条件通知書等」という。)に記載すれば問題ありません。しかし、今回の改正により、採用した時点だけでなく、将来のこと、つまり、「変更の範囲」まで記載する必要があります。変更の範囲とは、転勤やジョブローテーションによって変わり得る就業場所や業務の範囲を指します。よって、転勤で就業場所が変わる可能性がある社員や、ゼネラリスト育成のため営業から事務、企画など業務内容が変わる可能性がある社員などは、採用時の労働条件通知書等にその内容をあらかじめ記載する必要があります。また、有期契約労働の場合には、契約更新のタイミングごとに、これらの内容を明示する必要があります。

(2)有期労働契約の場合は、契約締結時と更新のタイミングごとに、更新上限(更新の回数、通算契約年数)の有無や内容を明示しなければなりません。

(3)有期労働契約が通算5年を超えると、労働者には無期転換申込権が発生します。そのような機会が訪れた労働者に対して、「あなたには無期雇用に転換する権利があります」ということを企業は明示する必要があります。ここで注意する点としては、通算5年を超えていても無期転換権を行使せず、有期労働契約を更新する労働者に対しても、その更新のつど、無期転換申込の機会を明示する必要があることです。

(4)(3)の無期転換申込の機会の明示とセットで、無期転換した場合の労働条件を明示する必要もあります。その労働条件については、有期から無期に変更することによって、なぜそのような労働条件になるのかにつき、有期契約労働者に説明するよう努めなければならない、とされています。

企業はどのような対応をするべきか

 以上の改正内容は令和6年4月からスタートですが、企業の対応としては、3つあると考えます。
 まず、1点目は、労働条件通知書等の様式を変更することです。新様式のモデルはすでに厚生労働省のHPに掲載されています。モデルによると、「就業の場所」「業務の内容」の欄に、(雇入れ直後)と(変更の範囲)の2つの内容を記載する内容になっています。また、有期労働契約の更新上限、無期転換に関する内容なども追加されています。各社、労働条件通知書等の様式は様々かと思いますが、こちらのモデルを参考にするとよいでしょう。
 2点目は、無期転換社員の労働条件の検討です。有期から無期へ転換した労働者がいる企業は対応しやすいかと思いますが、今まで無期転換した労働者がいない場合、どのような労働条件にすればよいか検討しておく必要があります。その際、次の3点目とも関わりますが、有期と無期と正社員とその他の雇用形態の者とどう違うのか、無期転換社員自体の位置づけが重要となるでしょう。
 3点目は、同一労働同一賃金違反(パート有期労働法違反)になっていないかのチェックです。今回、就業場所と業務の内容の変更の範囲が、明示事項とされることにより、正社員やパートアルバイト等、各従業員の人材活用の範囲が従来よりも明確になります。これにより、不合理な待遇差の有無が判定しやすくなると考えられます。人材活用の範囲が同じなのに、正社員とパートで待遇に説明がつかない明らかに大きな差があればパート有期労働法違反と指摘される可能性もあります。よって、企業は、就業場所と業務の内容の変更の範囲を明示するにつき、同一労働同一賃金の視点ももって、その内容を検討した方がよいと考えます。特に同一労働同一賃金はコロナ禍にスタートしたこともあり、まだ対応が進んでいない企業は、来年4月ではなく今から検討しておく必要があるでしょう。

<プロフィール>
三谷文夫
社会保険労務士 (三谷社会保険労務士事務所 )

大学卒業後、旅館や書店等で接客や営業の仕事に従事。前職の製造業では、総務担当者として化学工場での労務管理を担う。2013年に社労士事務所開業。労務に留まらない経営者の話し相手になることを重視したコンサルティングと、自身の総務経験を活かしたアドバイスで顧客総務スタッフからの信頼も厚い。就業規則の作成、人事評価制度の構築が得意。商工会議所、自治体、PTA等にて研修や講演多数。大学の非常勤講師としても労働法の講義を担当する。趣味は、喫茶店でコーヒーを飲みながらミステリ小説を読むこと。
著書に『図解と事例これ一冊!労務管理の基本がぜんぶわかる本』(ワン・パブリッシング)がある。

https://www.srmitani.jp/

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