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医療・薬事2026年05月10日 尊厳回復も偏見解消道半ば 残る課題「抜本的対策を」 提供:共同通信社

 ハンセン病患者の隔離政策を定めたらい予防法(1996年廃止)は憲法違反だとして、国に元患者らへの賠償を命じた2001年の熊本地裁判決から11日で25年。元患者は判決による尊厳回復を喜び、差別解消への大きな一歩となった。ただ、社会に刻み込まれた偏見は根深く、今も課題は残されたままだ。関係者は国に抜本的な対策の必要性を訴えている。
 「裁判に勝った日は、私の本当の誕生日です」。国立療養所星塚敬愛園(鹿児島県鹿屋市)で暮らす上野正子さん(99)が振り返った。何も分からず13歳で入所。園内結婚した夫は断種手術をされ、子を持つ希望も絶たれた。提訴後は園内で嫌がらせも受けた。判決後に初めて本名を名乗り「堂々と生きられるようになった」と証言する。
 国は「早期かつ全面的な解決を図りたい」と控訴を断念。当時の坂口力厚生労働相が療養所を訪れ入所者に謝罪した。
 さらに06年までに、入所者や旧植民地下で隔離された元患者への補償、退所者への給与金支給が実現した。原告代理人だった徳田靖之弁護士は「裁判で問題が広く知られるようになったことで、当事者の運動に市民が加わり、社会的なうねりとなった結果だ」と語る。
 しかし、徳田さんは判決から10年を過ぎた頃から「風化」を強く感じ始めた。23年に厚労省が実施した全国意識調査で「ホテルなどで同じ浴場を利用」「元患者の家族と自分の家族が結婚」といった項目に抵抗感を示す回答が少なくなかった。
 「『差別はいけない』と分かっていても、問題が身近に迫ると潜在化していた意識が現れる」と徳田さんは分析する。新型コロナウイルス禍で、感染者への誹謗中傷や、医療関係者の子どもの登園拒否が起きたことは、ハンセン病への差別と根っこは同じだとみる。
 ハンセン病問題を伝える学校教育や国による啓発活動では「過去の出来事として扱うのではなく、現代の問題と照らし合わせて人々の意識に訴えかける必要がある」と問題提起した。
 被害を訴え、偏見・差別を克服する鍵を握ってきた元患者は高齢化が進み、当時の原告も既に多くが亡くなった。上野さんは今も若い世代に講演し、思いが届いている実感もあるという。「もっと長生きしてお話ししたい」。真の解決に向け、声を上げ続ける覚悟だ。

 ハンセン病 「らい菌」による慢性感染症で、末梢神経のまひといった症状がある。治療法がない時代には皮膚の変形など後遺症も見られた。感染力は低い。国は医学的知見が乏しいまま1907年に強制隔離政策を始め、国立療養所で強制労働や断種・堕胎手術が行われた。薬の開発による治療法確立後も、国は96年にらい予防法が廃止されるまで隔離政策を続けた。厚生労働省によると、全国13の国立療養所では昨年5月1日時点で639人が暮らし、平均年齢は88・8歳。

(2026/05/10)

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