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一般2020年07月15日 特別企画:新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年6月) 出典:帝国データバンク

企業の84.5%が「業績にマイナス」も、先行きへの不透明感和らぐ
~企業活動の再開、従業員の健康や感染症予防対策を優先~

はじめに
 新型コロナウイルス感染症の影響は依然として続いているが、2020年5月25日に「緊急事態宣言」が解除され、国民生活、経済活動は徐々に動き始めた。また、政府は、特別定額給付金の支給や事業継続に資する各種補助施策などを続けている。さらに、接触確認アプリの開発など感染拡大の防止策を進め、社会・経済活動の回復に努めている。一方で、感染の第2波・第3波の発生により再び経済活動などが停滞する可能性も引き続き懸念されている。
 そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年6月調査とともに行った。
※調査期間は2020年6月17日~30日、調査対象は全国2万3,681社で、有効回答企業数は1万1,275社(回答率47.6%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で5回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果(要旨)
1.新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は84.5%となり、2カ月連続で減少した。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」(66.6%)が前月から3.8ポイント増加した一方、「今後マイナスの影響がある」(17.9%)は5.4ポイント減少した
2.『マイナスの影響がある』を業界別にみると、『運輸・倉庫』が90.6%で最も高い。次いで、『製造』(87.0%)、『卸売』(86.3%)となった。業種別では、「家具類小売」は4カ月連続、「旅館・ホテル」は3カ月連続で100%となった。以下、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(95.9%)、「放送」(95.0%)、「広告関連」(94.3%)が続いた
3.『プラスの影響がある』は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が28.6%で最も高く、3割近くにのぼった。次いで、インターネット接続業などの「電気通信」(20.0%)、「飲食料品小売」(16.4%)が続いた
4.自社が企業活動を再開する際に優先して取り組む施策では、「従業員の健康管理の継続」が64.3%でトップとなった(複数回答、以下同)。以下、消毒液やマスクの確保、換気、シールド設置などの「感染症予防対策」(54.6%)、「既存事業の再強化」(41.4%)が上位となった
1.今後マイナスの影響を見込む企業は1割台に減少、先行きに対する不透明感が和らぐ
 新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は84.5%となった。5月(86.1%)から1.6ポイント減となり、2カ月連続で減少した。
 内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が66.6%(2020年5月、62.8%)となり、5月に引き続き6割超で過去最高を更新。また、「今後マイナスの影響がある」が17.9%(同23.3%)で5月より5.4ポイントの減少がみられ、先行きに対する不透明感がやや和らいだ様子がうかがえた。
 他方、「影響はない」とする企業は8.2%(同6.5%)だったほか、『プラスの影響がある』(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は3.0%(同2.8%)となり、わずかながらも増加傾向にある。
 『マイナスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『運輸・倉庫』が90.6%でトップとなり、他業界と比較して高水準での推移が続いている。以下、『製造』(87.0%)、『卸売』(86.3%)、『不動産』(86.2%)、『農・林・水産』(85.5%)が続いた。特に、『運輸・倉庫』や『不動産』など5業界では、既に7割超の企業でマイナスの影響を受けていた。
 企業からも、「無利子の借り入れは出来たが、荷主からの輸送量が増えないと厳しい状況は続く」(一般貨物自動車運送、山形県)や「これまでに経験のない売り上げ・利益の減少を受けており、最低でも今後1年間は、元に戻らない事を覚悟している」(水産練製品製造、北海道)といった声があげられた。
 さらに、業種別にみると、「家具類小売」は4カ月連続、「旅館・ホテル」は3カ月連続で100%となった。以下、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(95.9%)、「放送」(95.0%)、「広告関連」(94.3%)が続いた。特に、「旅館・ホテル」や「飲食店」などの4業種では5カ月連続で企業の8割超が業績にマイナスと見込んでいた。企業からも「営業努力によって需要の回復を図るには限界があるので、消費意識の早期回復を望む」(旅館、新潟県)や「従業員の雇用を守り、生活を守ることに主眼を置きたいが、非常に厳しい状況である。旅行業、観光業、飲食業などが大きな影響を受けているが、他業種から理解されていない」(一般食堂、三重県)といった意見が聞かれた。
 他方、「この新型コロナウイルスが契機となり、今まで緩やかに進んでいた日本の変革が一気に加速すると予想。その波に乗り遅れないよう自社も変革に着手しなければいけない」(遊技場、福岡県)とあるように、業績にマイナスの影響を受けるなかでも、社会の変化を肯定的に捉え、事業活動を進める企業も現れている。
2. 在宅時間の増加により、食料品や電気通信などの業種でプラスの影響
 『プラスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『小売』が 8.7%で最も高く、そのうち 6.8%は既に業績へプラスの影響が表れている。次いで、『金融』(4.6%)、『卸売』、『農・林・水産』、『製造』(ともに 3.2%)が続く。
 さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が28.6%で最も高く、3割近くにのぼった。次いで、インターネット接続業などの「電気通信」(20.0%)、「飲食料品小売」(16.4%)、「家電・情報機器小売」(15.0%)、「医薬品・日用雑貨品小売」(12.0%)が続いた。企業からも、「自宅での生活スタイルが長引いているなかで、模様替え等の商品の引き合いが多く、今後も商品の特質をアピールして販売強化を図っていく」(室内装飾繊維品卸売、福岡県)や「保存がきく冷凍の食品加工業であるため、新型コロナウイルスによりプラスの影響があった」(水産食料品製造、静岡県)など、在宅時間の増加により関連した消費が拡大している様子がうかがえた。 また、「新型コロナウイルスにより時間に余裕ができ、以前からやりたかったことに取り組めた。
 すでに良い影響が出ており、今後の事業見通しは明るい」(木造建築工事、愛知県)というように、新型コロナウイルスを契機として前向きな取り組みもみられている。
3.企業活動の再開、従業員の健康や感染症予防対策を優先
 自社が企業活動を再開する際に、優先して取り組む施策について尋ねたところ、「従業員の健康管理の継続」が64.3%でトップとなった(複数回答、以下同)。
 「大企業」は72.2%、「中小企業」は62.5%となり、企業規模を問わず最優先事項としている。次いで、消毒液やマスクの確保、換気、シールド設置などの「感染症予防対策」(54.6%)、「既存事業の再強化」(41.4%)、「新型コロナ騒動前と同水準への回復」(36.8%)、「手元資金の準備」(31.9%)が上位に並んだ。
 「大企業」では従業員の健康や感染症予防対策、多様な働き方の継続、IT設備の強化、省力化推進など「ヒト」や「モノ」に関する取り組みをより優先している。他方、「中小企業」では、従業員の健康や感染症予防対策のほか、手元資金や資金計画の見直しなどといった「カネ」に関する取り組みを優先している様子がうかがえた。
まとめ
 本調査の結果、企業の8割超が新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込んでいた。しかし、4月調査をピークに2カ月連続で減少となり、先行きに対する不透明感もやや和らいだ様子がうかがえた。そして、業績に悪影響を受けながらも、日本社会の急速な変化に対応していこうと、肯定的に捉える企業も現れている。
 また、プラスの影響を見込む企業は毎月微増する傾向にある。特に在宅時間の増加にともない、食料品や電気通信などを取り扱う企業では、需要の拡大を実感していた。
 さらに、企業は事業活動を再開する際に優先する施策として、企業規模を問わず従業員の健康や感染症予防対策を重視している。とりわけ、大企業では、従業員の健康のほか多様な働き方の継続、IT設備の強化などの「ヒト」や「モノ」に対し、中小企業は、従業員の健康はもとより、手元資金や資金計画の見直しなどといった「カネ」に関する施策をより優先する傾向がみられた。
 2020年5月25日に「緊急事態宣言」、6月19日には県境を跨ぐ移動制限が解除され、日本の社会・経済は段階的に動き始めた。企業からも新型コロナウイルスを契機に、変革に着手しなければならないといった前向きな声が聞かれた。しかしながら、経営環境の厳しさは続くとみられ、感染の第2波・第3波により再び経済活動などが停滞する懸念もある。
 政府には、引き続き経済再生と感染拡大防止の両立について、国民に対し丁寧に説明するとともに、具体的な施策を実行することが求められる。
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