企業法務2024年06月27日 技能実習制度に代わり、新たに育成就労制度を創設! 法令ダイジェスト 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年6月21日法律60号)

概 要
技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、就労を通じた人材育成及び人材確保を目的とする新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び監理支援を行おうとする者の許可の制度並びにこれらに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、1号特定技能外国人支援に係る委託の制限、永住許可の要件の明確化等の措置等、所要の改正が行われました。
施 行
公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行(一部の規定を除く。)
出入国管理及び難民認定法の一部改正関係
1)新たな在留資格創設
技能実習の在留資格を廃止し、育成就労産業分野(特定産業分野のうち就労を通じて技能を修得させることが相当なもの)に属する技能を要する業務に従事すること等を内容とする「育成就労」の在留資格を創設することとされました。さらに、一定基準に適合する企業の外国事業所の職員が技能等を修得するための「企業内転勤2号」の在留資格も創設することとされました。
2)特定技能の適正化
特定技能所属機関(受入れ機関)が1号特定技能外国人の支援を外部委託する場合の委託先を、登録支援機関に限ることとされました。
3)不法就労助長罪の厳罰化
外国人に不法就労活動をさせる等の不法就労助長罪の罰則を引き上げることとされました(拘禁刑3年以下又は罰金300万円以下→5年以下又は500万円以下 ※併科可)。
4)永住許可制度の適正化
永住許可の要件を一層明確化し、その基準を満たさなくなった場合等の取消事由を追加することとされました。ただし、特段の事情がない限り、在留資格を変更して引き続き在留を許可することとされました。
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部改正関係
1)育成就労制度の目的・基本方針
〈1〉題名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改めることとされました。
〈2〉育成就労制度は、育成就労産業分野において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とすることとされました。
〈3〉政府は基本方針及び分野別運用方針を定めるものとし、分野別運用方針において、各分野の受入れ見込数を設定するものとされました。
2)育成就労計画の認定制度
〈1〉育成就労計画の認定に当たって、育成就労の期間が3年以内(相当の理由がある場合は、最大で1年の延長可)であること、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関の体制、外国人が送出機関に支払った費用額等が基準に適合していることといった要件を設けることとされました。
〈2〉転籍の際には、転籍先において新たな育成就労計画の認定を受けるものとし、当該認定は、①やむを得ない事情がある場合や、②同一業務区分内であること、就労期間(1~2年の範囲で業務の内容等を勘案して主務省令で規定)・技能等の水準・転籍先の適正性に係る一定の要件を満たす場合(本人意向の転籍)に行うこととされました。
3)関係機関の在り方
〈1〉監理団体に代わる「監理支援機関」については、外部監査人の設置を許可要件とすることとされました。監理支援機関は、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないものとされました。
〈2〉外国人技能実習機構に代わり「外国人育成就労機構」を設立し、育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務を追加することとされました。
以 上
新日本法規出版株式会社
(2024年6月)
人気記事
人気商品
関連商品
法令ダイジェスト 全42記事
- 社会保険の加入対象の拡大等、年金制度の見直しを実施!
- 就業環境のさらなる整備のために!
- 譲渡担保契約・所有権留保契約のルールを明文化!
- マンションの大規模修繕や建替え・売却の要件が緩和されました!
- さらなる職場環境の整備を推進!
- 児童虐待防止と保育現場の人材確保・体制強化!
- 基礎控除の引上げ等の見直しを実施!
- 子どもを性犯罪から守るための日本版DBS!
- 技能実習制度に代わり、新たに育成就労制度を創設!
- さらなる柔軟な働き方の実現に向けた措置を拡充!
- 離婚後の「共同親権」が導入される!
- 所得税・個人住民税の定額減税を実施!
- 送還・収容ルールの見直しのほか、紛争避難民等の保護が図られました!
- 空き家対策のさらなる強化のために!
- DVから被害者を守るため、 保護命令制度が拡充される!
- 働き方の多様化に対応し、 フリーランスの法的保護を図るために!
- ADRでの和解の一部で、 差し押さえなどの強制執行が可能に!
- 子どもの権利を護るため、 嫡出や懲戒をめぐる規定を120年ぶりに見直し!
- 懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化!
- こどもの権利を包括的に保障する基本法が制定される!
- こども関連政策を担う司令塔として、こども家庭庁が設置される!
- 建築物分野での省エネ対策を加速!
- 子育て世帯に対する支援体制を強化!
- さらなる消費者被害の防止・救済の強化が図られる!
- 民事裁判の全面的なIT化が図られる!
- さらなる利用促進と災害発生の防止のために!
- 賃上げ促進税制が拡充されました!
- デジタル社会における消費者保護が図られる!
- 出生時育児休業制度を新設するなど、 さらなる仕事と育児・介護の両立を促進!
- 匿名者によるネット誹謗中傷被害救済のため、 発信者情報開示制度の見直しが図られる!
- 所有者不明土地問題の解決のために!
- 相続等により取得した土地所有権の国庫帰属が可能に!
- DX投資促進税制が創設されました!
- 中小企業の廃業を防ぎ、成長できる環境を整備するために!
- 事業者の不祥事を早期に是正し、被害の防止を図るために!
- 消費者からの個人情報の利用停止・削除・開示請求への対応が厳格化!
- 全世代型社会保障の構築に向けた改正!
- 高年齢者の就業増加や副業解禁など、昨今の労働環境の変化に対応する改正!
- グループ通算制度が創設されました!
- 土地についての基本理念等が見直されました!
- 賃金請求権の消滅時効期間が3年に!
- 社外取締役設置や報酬決定方針の開示を義務化!
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.