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税務ニュース2003年12月09日 神戸地裁、推計課税の合理性の立証が不十分と判示 同業者の抽出過程に課税庁の恣意の疑いを指摘し、納税者勝訴

神戸地裁、推計課税の合理性の立証が不十分と判示
同業者の抽出過程に課税庁の恣意の疑いを指摘し、納税者勝訴



神戸地方裁判所第2民事部(紙浦健二裁判長)は、平成15年10月3日、同業者の所得率によって推計して行った所得税の更正等が、同業者の抽出過程に課税庁側の恣意が介在したとの疑いを払拭することができず、推計課税において要求される推計の合理性が認められないとして、課税処分の一部(ほとんど全部)を取り消した(平成11年(行ウ)第40号)。

推計の必要性及び調査の適法性は容認
 本件は、原告が税理士資格のない第三者の立会いを要求し続け、所得金額等が確認できる帳簿書類等の提示にも応じなかったため、やむを得ず推計により算定した所得金額により行われた更正処分等の適法性を争ったものであるが、具体的には(1)推計の必要性及び調査の適法性、(2)推計の合理性などが争点となっている。
 裁判所の判断では、原告の対応からして、推計の必要性を認め、本件調査についても、違法な点は認めていない。

推計の合理性から抽出過程の合理性へ
 推計課税の必要性の要件が満たされている場合でも、推計課税は合理的に行われなければならないとされている。裁判所は、課税庁側が本件訴訟段階において採用した抽出基準(抽出対象署・事業規模・業種・業態など)には合理性があるものと認めたが、本件抽出基準に基づく同業者の抽出過程には、課税庁側の恣意が介在したとの疑いを払拭することができず、抽出過程の合理性は認められないと判示した。

所得率の低い同業者が恣意的に排除された?
 裁判所は、課税庁の行う抽出が抽出基準に基づき機械的に行われ、課税庁の恣意が介在する余地のないものでなければならず、そのような恣意性が排除されれば、抽出過程の合理性が認められるとしているが、原告側の「所得率の低い同業者2件が恣意的に抽出から排除された」との主張に対して、課税庁側の反論・合理的な説明が十分でないと、判断した。課税庁側が、処分から訴訟までのいずれの段階においても同業者の所得率の平均値を20%程度としていたのに対し、所得率の著しく低い2件については、抽出洩れとなっていた。

異なる対象から同じ所得率の算定に恣意的抽出の疑念
 また、裁判所は、処分・異議申立・審判所・大阪国税局訟務官室が拠り所とする同業者は、すべて異なるにもかかわらず、同業者の所得率の平均値がほぼ同一であることに、恣意的に操作して集めた同業者であるとの疑念を払拭することができないと判示している。結局、推計課税の合理性が認められなかったものである。 

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