会計ニュース2004年01月13日 第48回企業会計基準委員会(ASB)が開催 役員賞与は269条による決議=費用処理へ
1月13日に第48回企業会計基準委員会(ASB)が開催された。今回は役員賞与の会計処理を中心に検討が進んだ。
費用計上のために269条による役員賞与決議が必要に!
役員賞与の会計処理については、本来、昨年末に「法的手続と会計処理は別物」とする考え方に基づいた公開草案を出すはずであった。ところが、法務省より、商法269条による決議の場合は費用処理(P/Lにて役員賞与を費用計上する処理)、商法283条による決議の場合は利益処分処理(未処分利益から役員賞与を支出する処理)というように、法的手続と会計処理は連動しているといった旨の指摘を受け、それまでの「法的手続と会計処理は別物」とする案を改める必要が生じることに。今回のASBでは、法務省の指摘を受け修正された公開草案(案)につき検討が行われた。
実務上、役員賞与は283条による決議で支払われるのが通常。しかし、商法上は269条による決議でも283条による決議でも、どちらでも可能。なお、269条による決議=費用処理、283条による決議=利益処分処理となる。そこで、費用計上のためには次のような議案が必要となる(上が283条、下が269条を根拠とする)。
第○号議案 第○○期利益処分案承認の件
当期未処分利益の処分
当期未処分利益 ××円
これを次の通り処分いたします。
配当金 ××円
次期繰越利益 ××円
第○号議案 役員賞与の支給の件
期末に在籍する役員に対し、賞与××円(うち、取締役賞与××円、監査役賞与××円)を支給致します。なお、当該金額は企業会計基準委員会から公表された実務対応報告第○号「役員報酬の会計処理に関する実務上の取扱い」(平成×年×月×日)に基づき、第○○期の費用に計上済みであります。
読み替え策も検討!?
もっとも、実務上は利益処分案中に役員賞与を入れる(すなわち、283条による決議)のが従前の慣行である。そこで、実務対応報告が出た後も、次のような議案を提出する会社がでてくることも予想される。
第○号議案 第○○期利益処分案承認の件
(1) 当期未処分利益の処分
当期未処分利益 ××円
これを次の通り処分いたします。
配当金 ××円
次期繰越利益 ××円
(2) 役員賞与の支給
賞与××円(うち、取締役賞与××円、監査役賞与××円)
なお、上記金額は企業会計基準委員会から公表された実務対応報告第○号「役員報酬の会計処理に関する実務上の取扱い」(平成×年×月×日)に基づき、第○○期の費用に計上済みであります。
このような議案は、利益処分案という議題で、費用計上した役員賞与につきコメントしているため、283条による議題中に269条の議案が入れ子状態で入っており、当該役員賞与は利益処分又は費用計上のどちらと解すべきかが問題となる。これについて、ASB事務局は、このような議案であっても当該決議は商法269条の役員報酬額決議と解される旨、法務当局になんらかの対応を図ってもらうとしているが、具体的対応策が確定しているわけではない。
このような読み替え策は、費用処理を行った会社が商法283条による利益処分で役員賞与を行った場合も、読み替え策で費用計上を維持し、実務上の混乱を避けるのが目的。しかし、神田委員から、費用計上した役員賞与を利益処分に載せるということは、矛盾しており、本来不適法意見が表明されるべきではないか、と指摘、今後の検討課題となった。
4月以降、会計基準に昇格か?
なお、その他、大きな変更点はない。3月決算に間に合わせるため、次回のASBで議決される予定。今回公表されるのは実務対応報告だが、実務の動向等を鑑み、今後、役員賞与につき会計基準を取りまとめる計画もある。
費用計上のために269条による役員賞与決議が必要に!
役員賞与の会計処理については、本来、昨年末に「法的手続と会計処理は別物」とする考え方に基づいた公開草案を出すはずであった。ところが、法務省より、商法269条による決議の場合は費用処理(P/Lにて役員賞与を費用計上する処理)、商法283条による決議の場合は利益処分処理(未処分利益から役員賞与を支出する処理)というように、法的手続と会計処理は連動しているといった旨の指摘を受け、それまでの「法的手続と会計処理は別物」とする案を改める必要が生じることに。今回のASBでは、法務省の指摘を受け修正された公開草案(案)につき検討が行われた。
実務上、役員賞与は283条による決議で支払われるのが通常。しかし、商法上は269条による決議でも283条による決議でも、どちらでも可能。なお、269条による決議=費用処理、283条による決議=利益処分処理となる。そこで、費用計上のためには次のような議案が必要となる(上が283条、下が269条を根拠とする)。
第○号議案 第○○期利益処分案承認の件
当期未処分利益の処分
当期未処分利益 ××円
これを次の通り処分いたします。
配当金 ××円
次期繰越利益 ××円
第○号議案 役員賞与の支給の件
期末に在籍する役員に対し、賞与××円(うち、取締役賞与××円、監査役賞与××円)を支給致します。なお、当該金額は企業会計基準委員会から公表された実務対応報告第○号「役員報酬の会計処理に関する実務上の取扱い」(平成×年×月×日)に基づき、第○○期の費用に計上済みであります。
読み替え策も検討!?
もっとも、実務上は利益処分案中に役員賞与を入れる(すなわち、283条による決議)のが従前の慣行である。そこで、実務対応報告が出た後も、次のような議案を提出する会社がでてくることも予想される。
第○号議案 第○○期利益処分案承認の件
(1) 当期未処分利益の処分
当期未処分利益 ××円
これを次の通り処分いたします。
配当金 ××円
次期繰越利益 ××円
(2) 役員賞与の支給
賞与××円(うち、取締役賞与××円、監査役賞与××円)
なお、上記金額は企業会計基準委員会から公表された実務対応報告第○号「役員報酬の会計処理に関する実務上の取扱い」(平成×年×月×日)に基づき、第○○期の費用に計上済みであります。
このような議案は、利益処分案という議題で、費用計上した役員賞与につきコメントしているため、283条による議題中に269条の議案が入れ子状態で入っており、当該役員賞与は利益処分又は費用計上のどちらと解すべきかが問題となる。これについて、ASB事務局は、このような議案であっても当該決議は商法269条の役員報酬額決議と解される旨、法務当局になんらかの対応を図ってもらうとしているが、具体的対応策が確定しているわけではない。
このような読み替え策は、費用処理を行った会社が商法283条による利益処分で役員賞与を行った場合も、読み替え策で費用計上を維持し、実務上の混乱を避けるのが目的。しかし、神田委員から、費用計上した役員賞与を利益処分に載せるということは、矛盾しており、本来不適法意見が表明されるべきではないか、と指摘、今後の検討課題となった。
4月以降、会計基準に昇格か?
なお、その他、大きな変更点はない。3月決算に間に合わせるため、次回のASBで議決される予定。今回公表されるのは実務対応報告だが、実務の動向等を鑑み、今後、役員賞与につき会計基準を取りまとめる計画もある。
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