資料2002年12月04日 【裁決事例】 被差押債権の第三債務者は、当該差押処分に対して審査請求ができる法律上の利益を有しないとして審査請求を却下した事例(債権の差押処分/却下)
平14.12.4裁決、裁決事例集No.64 119頁
《裁決書(抄)》
1 原処分庁は、株式会社A(以下「滞納者」という。)の滞納国税を徴収するため、滞納者が審査請求人(以下「請求人」という。)に対し債権(平成14年8月2日締切りの売掛金2,064,562円の支払請求権、以下「被差押債権」という。)を有するものとして、平成14年8月27日付で当該債権の差押処分(以下「本件差押処分」という。)を行ったところ、請求人は、〔1〕滞納者に対して被差押債権を超える債権を有しているので相殺すべきであること及び〔2〕滞納者の代理人である弁護士から、売掛金債権1,746,973円を元従業員に譲渡したとする平成14年8月2日付債権譲渡通知書が届き、当該債権譲渡は本件差押処分に先行することから、滞納者に対する債務が存在しないとして、本件差押処分は違法である旨主張し、本件差押処分の取消しを求めて審査請求をした。
2 ところで、差押処分等の国税に関する処分に対し、審査請求ができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者に限られると解されている。
そこで、本件についてみると、本件差押処分によって、国は滞納者に代わって債権者の立場に立つにとどまり、国と第三債務者たる請求人との関係は、私法上の債権者、債務者という関係にすぎないことになる。
そうすると、請求人が任意に当該債務を履行しない場合は、国は、民事訴訟法に定める手続により被差押債権に係る債務名義を得た上で、強制執行の手続を踏むほかはなく、請求人は、国が被差押債権取立てのための訴えを提起したときには、当該債務の不存在等差押前から滞納者に対して有する一切の抗弁を主張して対抗することができるのであるから、債権者が滞納者から国に交代したことに伴い、法律上の不利益を受けることはない。
したがって、被差押債権に係る債務が存在しないことを理由として本件差押処分の取消しを求める本件審査請求は、法律上の利益を欠いた不適法なものである。
《裁決書(抄)》
1 原処分庁は、株式会社A(以下「滞納者」という。)の滞納国税を徴収するため、滞納者が審査請求人(以下「請求人」という。)に対し債権(平成14年8月2日締切りの売掛金2,064,562円の支払請求権、以下「被差押債権」という。)を有するものとして、平成14年8月27日付で当該債権の差押処分(以下「本件差押処分」という。)を行ったところ、請求人は、〔1〕滞納者に対して被差押債権を超える債権を有しているので相殺すべきであること及び〔2〕滞納者の代理人である弁護士から、売掛金債権1,746,973円を元従業員に譲渡したとする平成14年8月2日付債権譲渡通知書が届き、当該債権譲渡は本件差押処分に先行することから、滞納者に対する債務が存在しないとして、本件差押処分は違法である旨主張し、本件差押処分の取消しを求めて審査請求をした。
2 ところで、差押処分等の国税に関する処分に対し、審査請求ができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者に限られると解されている。
そこで、本件についてみると、本件差押処分によって、国は滞納者に代わって債権者の立場に立つにとどまり、国と第三債務者たる請求人との関係は、私法上の債権者、債務者という関係にすぎないことになる。
そうすると、請求人が任意に当該債務を履行しない場合は、国は、民事訴訟法に定める手続により被差押債権に係る債務名義を得た上で、強制執行の手続を踏むほかはなく、請求人は、国が被差押債権取立てのための訴えを提起したときには、当該債務の不存在等差押前から滞納者に対して有する一切の抗弁を主張して対抗することができるのであるから、債権者が滞納者から国に交代したことに伴い、法律上の不利益を受けることはない。
したがって、被差押債権に係る債務が存在しないことを理由として本件差押処分の取消しを求める本件審査請求は、法律上の利益を欠いた不適法なものである。
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