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解説記事2004年08月30日 【ニュース特集】 これが新しい相続税の申告書だ(2004年8月30日号・№080)

相続時精算課税制度の創設で変わった
これが新しい相続税の申告書だ

 8月6日、国税庁のホームページ上で、平成16年分以降用の相続税の申告書様式が公表されました(http://www.nta.go.jp/category/yousiki/sisan/annai/2223-01.htm)。平成15年度税制改正で「相続時精算課税制度」が創設されたことから第1表(課税価格、相続税額)に相続時精算課税適用財産の価額(②欄)・相続時精算課税分の贈与税額控除額(⑳欄)が設けられ、相続時精算課税の適用を受ける場合の納付すべき(還付される)相続税の計算が相続税申告書上でできるようになりました。また、第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)が新設されたほか、相続時精算課税適用者が被相続人である特定贈与者の死亡の日前に死亡している場合等に記入する第1表の付表1(納税義務等の承継に係る明細書)、還付される税額のある相続時精算課税適用者がいる場合に記入する第1表の付表2(還付される税額の受取場所)が新たに設けられました。第15表(相続財産の種類別価額表)にも相続時精算課税適用財産の価額(欄)が設けられました。
 このほか、平成16年度税制改正で特定事業用資産(自社株)に対する軽減措置の拡充が行われたことなどから、相続税の申告書様式は、ほぼ全面的に見直されています。
 新しい相続税の申告書様式を実感していただくため、早速記載例を作成して、「相続時精算課税」の適用を受ける場合の相続税申告を確認することにします。

設例
 大石内蔵助(昭和10年12月14日生まれ)さんは、平成16年5月4日、死亡しました。相続人は妻の大石りく(昭和12年3月8日生まれ)さん、長男の大石主税(昭和40年10月1日生まれ)さん、長女の大石くう(昭和42年9月9日生まれ)さんの3人です。
 大石主税さんは、平成15年9月25日に大石内蔵助さんから住宅取得等資金として現金4,000万円の贈与を受けました。この贈与について、相続時精算課税を選択する届出書を所轄(芝)税務署長に提出し、相続時精算課税分の住宅取得等資金の贈与として、平成16年3月14日、所定の贈与税の申告を行い、同日1,000,000円の贈与税額を納付しました。
 大石くうさんは、平成15年10月5日に大石内蔵助さんから現金200万円の贈与を受けました。この贈与について、相続時精算課税は選択せず、暦年課税分の贈与として、平成16年3月14日所定の贈与税の申告を行い、同日90,000円の贈与税額を納付しました。
 上記のほか、相続人は、被相続人となる大石内蔵助さんから、何らの贈与も受けていません。
 各相続人は、平成17年1月10日、遺産分割協議を成立させ、各相続人の相続による取得財産の価額並びに債務及び葬式費用の金額は、下表のとおりとなりました。平成17年3月1日、各相続人は連名で相続税の申告書を被相続人の所轄(相生)税務署長に提出し、同日記載した納付すべき税額を納付しました。

各人の合計
大石 りく
大石 主税
大石 くう
取得財産の価額
161,000,000
83,000,000
40,000,000
38,000,000
債務及び葬式費用
3,000,000
3,000,000


相続時精算課税適用者が相続税の申告をする場合の留意点
「相続税の課税価格に加算」の意義
 「特定贈与者から相続又は遺贈等により財産を取得した相続時精算課税適用者については、相続時精算課税適用財産の価額を相続税の課税価格計算に加算した価額をもって、相続税の課税価格とする(相法21条の15①)。」と規定されています。
 相続時精算課税の適用を受ける場合には、債務控除(相法13条)の規定について、「取得した財産」を「取得した財産及び相続時精算課税適用財産」と読み替えることを規定(相法21条の15②)していますので、相続時精算課税適用財産を加算後に、債務等の金額を控除することになります。相続税の申告書(第1表)では、債務及び葬式費用の金額(③欄)のすぐ上の欄に相続時精算課税適用財産の価額(②欄)を設けており、申告書に即した計算を行えば問題(赤字の取扱いの疑問)は生じません。暦年課税分の贈与財産からは、被相続人の債務等の控除は行うことができませんので、取扱いの違いに留意する必要があります。

「相続税額から当該贈与税額を控除」の意義
 「相続時精算課税分の贈与税額があるときは、相続税額から当該贈与税の税額を控除した金額をもって、その納付すべき税額とする(相法21条の15③)。」・「相続時精算課税分の贈与税額控除は、控除しきれなかった金額を還付する(相法33条の2①)。」と規定していますので、相続時精算課税分の贈与税額控除は、相続税の計算における他の税額控除(暦年課税分の贈与税額控除、未成年者控除等)との計算の順序が問題となります。
 相令5条の3は、「相続時精算課税の贈与税額は、法15条(遺産に係る基礎控除)から第20条の2(在外財産に対する相続税額の控除)まで(第19条の2(配偶者に対する相続税額の軽減)を除く。)の規定により算出した金額から控除する。」と規定しており、相続時精算課税分の贈与税額控除は、他の税額控除を適用した後の金額から控除することになります。相続税の申告書(第1表)では、他の税額控除を適用して算出した差引金額(⑲欄)を記載し、相続時精算課税分の贈与税額控除(⑳欄)をすぐ下で行うことになりました。

相続時精算課税適用財産と相続開始前3年以内の贈与加算
 相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、相法19条(相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額)①の規定の適用はありません(相法21条の15②等に「特定贈与財産」の読み替えを規定)。すなわち、相続税の申告書上では、特定贈与者がその贈与をした年の中途に死亡した場合を除き、相続時精算課税分とされる贈与税の申告書から、相続時精算課税適用財産及び相続時精算課税分の贈与税額が、相続税の申告書の第11の2表(相続時精算課税適用財産の明細書、相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書)に記載されます。同様に暦年課税分とされる贈与税の申告書から、申告書第4表(暦年課税分の贈与税額控除額の計算書)及び第14表(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額)が記載されます。
 相続時精算課税に係る贈与をした被相続人がその贈与をした年の中途に死亡した場合(設例では、平成16年1月1日から相続開始の日(平成16年5月4日)までに、大石内蔵助さんから、大石主税さんに贈与があった場合)には、平成16年中の贈与について贈与税の申告は要しません(相法28④)が、相続税の申告書第11の2表に、相続時精算課税適用財産として記載することになります。






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