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税務ニュース2004年03月01日 相続税の連帯納付義務訴訟、大阪高裁でも国側勝訴!(2004年3月1日号・№056) 税理士補佐人の意見書も高裁では通じず

相続税の連帯納付義務訴訟、大阪高裁でも国側勝訴!
税理士補佐人の意見書も高裁では通じず


 平成16年2月20日、大阪高裁第2民事部(林 醇裁判長)は、相続税法34条1項(相続税の連帯納付の義務)の規定が憲法13条及び29条に違反するなどとして、延納許可を受けていた共同相続人の一人が分納期限までに分納税額等を納付しなかったことによる控訴人への督促処分の取消を求めていた事件の控訴審で、原告の請求を棄却した1審判決(大阪地裁、平成15年1月24日判決)を容認し、原告の控訴を棄却した。

相続税法第34条1項(連帯納付の義務)
 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。  

事案の概要 
 平成2年に発生した相続について、原告・控訴人Xは、Aらとともに共同相続したが、共同相続人の一人Aが平成12年に滞納した相続税(「延納許可による延納税額及び利子税額」)に関し、相続税法34条1項の規定により上記相続税を連帯納付する義務があるとして被告・被控訴人Y税務署長から督促処分を受けた。  
 Xは、①相続税法34条1項は、憲法13条及び29条に違反する、②上記督促処分は、 Xが相続により取得した財産の価値を上回る相続税の支払を要求するもので憲法29条に違反する、③Y税務署長がXに対し事前に連帯納付義務の存在や税額を告知することなく上記督促処分をしたことは憲法31条及び行政手続法1条に違反する、④上記督促処分は相続開始から10年以上経過した後になされており、徴収権の濫用に当たる、⑤上記督促処分は納期限を半年以上経過した時点でなされており、国税通則法37条2項に違反するなどと主張して、上記督促処分の取消を求めた。
 控訴審では、Xは主として、相続税の連帯納付義務を定める相続税法34条1項は違憲であると主張して、上記督促処分の適法性を争っている。

不意打ち防止の告知手続きの必要性に言及するが
 控訴審判決は、一審判決通りにXの主張を斥けているが、連帯納付義務者が滞納処分を受けて初めて具体的租税債務を知ることとなる「不意打ち」について、立法及び国税当局が、最高裁判決の補足意見で指摘されながらも、十分対応してこなかったことをことさらに言及し、適切な対応を求めている。しかしながら、このような手続きの問題は、その内容・程度からして憲法31条の趣旨に反するということはできないと判示している。

相続人の固有財産からの相続税の支払いも、価格の下落は「偶然の事情による結果」
 Xは、控訴審において、相続税の連帯納付義務が憲法29条(財産権)に反するものであると強く主張してきた。なかでも、「連帯納付義務の規定は『受けた利益を限度』としており、相続開始時に比べて相続財産の市場価値が大きく下落した場合には、相続財産の時価が相続税に満たないため、相続人の固有の財産から相続税を支払わざるを得ない⇒財産権の侵害となる。」と主張した。しかし、高裁判決では、「相続財産の価格の下落は偶然の事情による結果であるから、連帯納付義務により、相続人の固有財産から支弁したとしても、それは単に相続財産の価額が下落した結果に過ぎず、相続税の連帯納付義務があることにより相続人の固有財産を侵害したとはいえない。」と判示した。

税理士が控訴人の補佐人となって注目
 本件の控訴審では、大阪を中心に10人を超える税理士が控訴人側の補佐人となって訴訟参加するということで、税理士の間で注目されてきた。補佐人税理士は、自らの相続税申告の経験などを基にして、相続税の連帯納付義務の非合理性を意見書などで主張した。

控訴人訴訟代理人の西野百合子弁護士のコメント
 「高裁判決は、原告や補佐人が当初より訴えつづけてきた本件の最大の争点である相続税法34条1項の『個人の尊厳』(憲法13条)・『個人の財産権の保障』(同29条1項)違反に対して正面から答えていない。裁判所が憲法軽視を宣言したとも言え、由々しき事態と評せられる。正面からの憲法判断を求め、併せて裁判所の憲法軽視を糾弾すべく、最高裁へ絶対上告理由を掲げて闘っていく決意である。」
 

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