コラム2006年10月30日 【間違いやすい税務事例集】 外国法人の日本における代表者外国法人の日本における代表者(2006年10月30日号・№185)
間違いやすい税務事例集06
外国法人の日本における代表者外国法人の日本における代表者
中村税法研究会 税理士 加藤俊行
質 問
当社は外国法人の日本支店ですが、当支店の支店長は「日本における代表者」という肩書きも有しています。同人は日本で採用された一般の従業員であり、本国での取締役等になっているわけではありません。
しかし、同人はその名のとおり日本においては会社の代表者となるわけですから、日本の法人税法上は役員となると理解してよろしいでしょうか。なお、当社は同族会社に該当するものではありません。
回 答
「日本における代表者」というだけでは、法人税法上の役員とはなりません。
解 説
外国法人が日本で継続取引をする場合には、「日本における代表者」を定めなければなりません。当該者は、会社の日本における業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有しており、その職務遂行上第三者に与えた損害については会社が損害賠償責任を負っています(会社法817条)。人的な要件としては、複数名いるときはそのうちの1人以上は日本に住所を有する者でなければならないとされているだけですので、会社の取締役等である必要はありません。
ところで、我が国の税務上は、法人の役員に対する給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれにも該当しない額および過大な役員給与の額は、損金の額に算入することができません(法人税法34条、法人税法施行令69条~71条)。寄附金、交際費をはじめとする支出項目についても、役員に対するものであって同人に対する経済的利益と認められるものは損金不算入の適用を受けることになります。
そこで、役員の範囲が重要になってくるわけですが、これについては、「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるもの」(法人税法2条15号)と定義されています。
そして、この政令で定めるものとは、職制上の使用人としての地位のみを有する使用人以外の者でその法人の経営に従事しているものおよび同族会社の使用人のうち特定株主でその経営に従事しているものとされています(法人税法施行令7条)。
ご質問の「日本支店長または日本における代表者」は、法人の取締役、執行役……には含まれておらず、また同人が本国においてこれらに該当してはいないようですので、政令で定めるものに該当するか否かが判定基準となります。ここで職制上の地位とは、支店長、工場長、営業所長等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいい(法人税基本通達9-2-2)、また、貴社は同族会社ではないということですから、日本支店長としての職制上の地位を有するのみである同人はこれにも該当せず、役員とはみなされません。
日本支店であっても対外的には日本社、日本における代表者を社長と表示しているところもあるようですが、それらにかかわらず税務上は上記規定で判定することになります。
外国法人の日本における代表者外国法人の日本における代表者
中村税法研究会 税理士 加藤俊行
質 問
当社は外国法人の日本支店ですが、当支店の支店長は「日本における代表者」という肩書きも有しています。同人は日本で採用された一般の従業員であり、本国での取締役等になっているわけではありません。
しかし、同人はその名のとおり日本においては会社の代表者となるわけですから、日本の法人税法上は役員となると理解してよろしいでしょうか。なお、当社は同族会社に該当するものではありません。
回 答
「日本における代表者」というだけでは、法人税法上の役員とはなりません。
解 説
外国法人が日本で継続取引をする場合には、「日本における代表者」を定めなければなりません。当該者は、会社の日本における業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有しており、その職務遂行上第三者に与えた損害については会社が損害賠償責任を負っています(会社法817条)。人的な要件としては、複数名いるときはそのうちの1人以上は日本に住所を有する者でなければならないとされているだけですので、会社の取締役等である必要はありません。
ところで、我が国の税務上は、法人の役員に対する給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれにも該当しない額および過大な役員給与の額は、損金の額に算入することができません(法人税法34条、法人税法施行令69条~71条)。寄附金、交際費をはじめとする支出項目についても、役員に対するものであって同人に対する経済的利益と認められるものは損金不算入の適用を受けることになります。
そこで、役員の範囲が重要になってくるわけですが、これについては、「法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるもの」(法人税法2条15号)と定義されています。
そして、この政令で定めるものとは、職制上の使用人としての地位のみを有する使用人以外の者でその法人の経営に従事しているものおよび同族会社の使用人のうち特定株主でその経営に従事しているものとされています(法人税法施行令7条)。
ご質問の「日本支店長または日本における代表者」は、法人の取締役、執行役……には含まれておらず、また同人が本国においてこれらに該当してはいないようですので、政令で定めるものに該当するか否かが判定基準となります。ここで職制上の地位とは、支店長、工場長、営業所長等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいい(法人税基本通達9-2-2)、また、貴社は同族会社ではないということですから、日本支店長としての職制上の地位を有するのみである同人はこれにも該当せず、役員とはみなされません。
日本支店であっても対外的には日本社、日本における代表者を社長と表示しているところもあるようですが、それらにかかわらず税務上は上記規定で判定することになります。
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