コラム2006年12月25日 【ML耳より情報】 海外進出の形態と税務(2006年12月25日号・№192)
海外進出の形態と税務
3つの進出形態
昨今経済の国際化が進展し、中小企業であっても外国へ進出するケースが増加しています。
外国への進出形態にはいくつか方法がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。国によって法制度は異なりますが、一般的に考えられる①駐在員事務所、②海外支店、③現地法人の3パターンを主として税務の視点から検討すると、下記のとおりとなります。

外国税額控除制度を最大限活用すべき
海外進出に関し税務上最も留意すべき点として、外国税額控除制度の有効活用が挙げられます。二重課税はグループ全体のキャッシュフローを圧迫するため、海外進出企業にとり決して軽視できない問題でしょう。
海外支店形態の場合、外国税額控除の利用方法に十分な工夫が必要です。外国税額控除は、計算上控除枠を(国外所得)×(当期の全社実効法人税率)で算出しますので、支店で利益が出ていても、全社ベースで赤字傾向の場合、外国法人税額を控除しきれない可能性があります。特に支店法人税に対する直接外国税額控除は、外国税額控除の仕組上、適用のタイミングが所得発生年度から1期後ろにずれますので、3年間の繰越期間中にすべて適用できるよう、予めグループ全体の事業配置を工夫する必要があります。現地法人の場合、海外支店と異なり日本に配当を実施しないと国外所得および外国税額控除(直接+間接)が発生しないので、控除枠を考慮に入れながら配当戦略を実施する方法が考えられます。なお現地法人の場合、ビジネスで獲得した資金を日本に還流させず現地国での再投資に回すのであれば日本での課税が生じる余地がなく二重課税は生じえません。
租税条約にも注意
進出する国と日本との間で租税条約が締結されている場合、租税条約が国内法の規定に優先します。また、海外における事業活動においては、税務上租税条約の規定についても注意が必要です。中国・タイなど国によっては、現地国の租税優遇措置を通常に払ったものとみなして外国税額控除(タックススペアリングクレジット)ができる場合もあります。事前に現地当局・専門家などと積極的に情報交換しておくことが、海外進出を有利に行ううえで不可欠です。
taxMLグループ 税理士 川島智之
3つの進出形態
昨今経済の国際化が進展し、中小企業であっても外国へ進出するケースが増加しています。
外国への進出形態にはいくつか方法がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。国によって法制度は異なりますが、一般的に考えられる①駐在員事務所、②海外支店、③現地法人の3パターンを主として税務の視点から検討すると、下記のとおりとなります。

外国税額控除制度を最大限活用すべき
海外進出に関し税務上最も留意すべき点として、外国税額控除制度の有効活用が挙げられます。二重課税はグループ全体のキャッシュフローを圧迫するため、海外進出企業にとり決して軽視できない問題でしょう。
海外支店形態の場合、外国税額控除の利用方法に十分な工夫が必要です。外国税額控除は、計算上控除枠を(国外所得)×(当期の全社実効法人税率)で算出しますので、支店で利益が出ていても、全社ベースで赤字傾向の場合、外国法人税額を控除しきれない可能性があります。特に支店法人税に対する直接外国税額控除は、外国税額控除の仕組上、適用のタイミングが所得発生年度から1期後ろにずれますので、3年間の繰越期間中にすべて適用できるよう、予めグループ全体の事業配置を工夫する必要があります。現地法人の場合、海外支店と異なり日本に配当を実施しないと国外所得および外国税額控除(直接+間接)が発生しないので、控除枠を考慮に入れながら配当戦略を実施する方法が考えられます。なお現地法人の場合、ビジネスで獲得した資金を日本に還流させず現地国での再投資に回すのであれば日本での課税が生じる余地がなく二重課税は生じえません。
租税条約にも注意
進出する国と日本との間で租税条約が締結されている場合、租税条約が国内法の規定に優先します。また、海外における事業活動においては、税務上租税条約の規定についても注意が必要です。中国・タイなど国によっては、現地国の租税優遇措置を通常に払ったものとみなして外国税額控除(タックススペアリングクレジット)ができる場合もあります。事前に現地当局・専門家などと積極的に情報交換しておくことが、海外進出を有利に行ううえで不可欠です。
taxMLグループ 税理士 川島智之
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