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税務ニュース2004年06月28日 アメリカ大使館職員事件、東京高裁は棄却の原審を容認(2004年6月28日号・№072) 「慣例・基準を信頼した過少申告と認めることはできない。」と判示

アメリカ大使館職員事件、東京高裁は棄却の原審を容認
「慣例・基準を信頼した過少申告と認めることはできない。」と判示


平成16年6月8日、東京高裁第19民事部(浅生重機裁判長)は、在日米国大使館職員の所得税の過少申告が、国税通則法70条5項に規定する「偽りその他不正の行為」に当たるかどうかを主たる争点とするアメリカ大使館職員事件の控訴審で、原審(藤山判決)の棄却判決を相当とする(容認する)「納税者敗訴」の判決を言渡した(平成16年(行コ)第90号)。

東京地裁民事3部原審の「請求棄却事件」で原判決を容認
 アメリカ大使館職員事件では、一審での8件(大阪地裁(平15.12.3)、東京地裁(平16.2.12)、さいたま地裁(平16.3.17)、東京地裁(平16.4.19)5件)の判決が確認されている(本誌No66、30頁参照)が、この他にも一審系属中の事件が東京国税局所管だけでも十数件あるという。東京地裁(平16.4.19)5件のうち3件について、実質的に納税者が勝訴したことで注目されているが、今回の控訴審判決は、東京地裁民事3部(藤山雅行裁判長)で2月12日に一審の判決(請求棄却)があったものについて、原告が控訴していたものである。
 この事件では、通則法70条5項の適用のほか、米国(大使館)の源泉徴収義務や住宅手当の非課税について争われている。
 浅生裁判長は、米国(大使館)の源泉徴収義務について、「現に米国大使館において源泉徴収を行っていない」と判示して、控訴人の主張を斥けた。また、住宅手当の非課税についての主張も斥けられた。主たる争点となる通則法70条5項の適用について、「上記認定事実によれば、控訴人の平成6年分及び7年分の申告(一般の場合の3年の更正の期間制限を越える年分)は、真実の所得を隠ぺいし、正当な税額の納付を回避する意図のもとに、米国大使館からの所得をことさらに秘匿し、また、所得金額をことさら過少に記載して、内容虚偽の申告書を提出したものというべきである。それ故、通則法70条5項の「偽りその他不正の行為」に当たるというべきである。」と判示し、「米国大使館の慣例に従っただけ」とする控訴人の主張を斥けた。

一審納税者勝訴事件はどうなる?
 これまでの一連の判決からすると、米国大使館における慣例(総支給額の6割程度での申告)に満たない申告(平成6年申告なし、平成7年~11年・43.4%~62.5%)である本件では、納税者の勝訴は困難なものと予想された。一方納税者が一審で勝訴した藤山判決3件では、国側が控訴している。国側は「組織的な過少申告行為」とみて、厳正な判断を裁判所に求めている。「慣例」の存在・意義や「偽りその他不正の行為」の意義が争点となるこちらの控訴審は、予断を許さない。
 
 

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