コラム2009年01月05日 【編集部レポート】 「売出し」概念の見直しでは規制の柔構造化を提言(2009年1月5日号・№289)
「売出し」概念の見直しでは規制の柔構造化を提言
ニーズ踏まえ「よりわかりやすく、利用しやすく」
金融審議会金融分科会第一部会のディスクロージャー・ワーキング・グループ(座長:岩原紳作東京大学大学院教授)は10月以降5回目の会合となった12月9日、報告を取りまとめ、12月11日に開催された第一部会において「ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告――開示諸制度の見直しについて――」として報告した(本誌287号17頁、288号27頁参照)。12月17日の第一部会報告取りまとめに伴い、これに添付する形で、一体のものとして公表されている(次頁以下参照)。
実務を踏まえて3つのテーマを審議 同グループでの検討は、第一部会の検討テーマ中「開示制度の見直し」をより実務的に行うために開始された。具体的なテーマは(1)発行登録制度、(2)目論見書制度、(3)有価証券の売出し概念に係る見直しであった。
上記(1)は発行登録書の提出により有価証券届出書の提出を行わずに「売出し」等を可能とする制度。検討を踏まえ、①利用適格要件の見直し、②SPCによる発行登録制度の導入、③発行登録に際してのプログラム・アマウント方式の採用を提言している(今号27頁以下参照)。
①は、同制度の利用適格要件のうち、発行者の情報が流通市場等を通じて周知されていることを求める「周知性の要件」について、その存否自体が検討されたものの今日も有用であるという認識のもと、この要件の1つ「格付要件」(指定格付機関からの一定内容の格付の取得を求めるもの)を、第一部会でも行われた格付・格付会社の位置付けの全面的な見直しのなかで撤廃。過去の社債発行実績や発行残高を基準とする要件が代替要件として例示されている。
(2)は、①大部でわかりにくいとの指摘があった投資信託の交付目論見書について、必要かつ簡潔な新たな記載事項を検討。また、②交付・請求の各目論見書、運用報告書の電子交付を促進する方策が模索された(28頁以下参照)。
「有価証券の売出し」概念は今日的な類型化 (3)に絡んでは現行、既発行の有価証券の売付け勧誘等において、(イ)「50人以上」を相手方とし、(ロ)価格・受渡期日等が「均一の条件」で行われる場合に発行開示義務が課せられる。この2要件により規律されるため、実務的には、本来不要と考えられる開示が求められる可能性があり、逆に「勧誘者数でなく約定者数49人ごとに条件をわずかに変更する」といった形で本来必要と考えられる開示がなされていないという実情があった(31頁参照)。
今般の検討では、(ロ)の要件は削除するものとされ、32頁(1)①~③および(3)④の考え方に基づき、発行開示を免除する類型が掲げられている(33頁以下参照)。
審議中、「開示規制の根本にかかわる」とする指摘もあった大幅な見直しであり、見直しに伴う関連改正など法制化の帰趨が注目される。
ニーズ踏まえ「よりわかりやすく、利用しやすく」
金融審議会金融分科会第一部会のディスクロージャー・ワーキング・グループ(座長:岩原紳作東京大学大学院教授)は10月以降5回目の会合となった12月9日、報告を取りまとめ、12月11日に開催された第一部会において「ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告――開示諸制度の見直しについて――」として報告した(本誌287号17頁、288号27頁参照)。12月17日の第一部会報告取りまとめに伴い、これに添付する形で、一体のものとして公表されている(次頁以下参照)。
実務を踏まえて3つのテーマを審議 同グループでの検討は、第一部会の検討テーマ中「開示制度の見直し」をより実務的に行うために開始された。具体的なテーマは(1)発行登録制度、(2)目論見書制度、(3)有価証券の売出し概念に係る見直しであった。
上記(1)は発行登録書の提出により有価証券届出書の提出を行わずに「売出し」等を可能とする制度。検討を踏まえ、①利用適格要件の見直し、②SPCによる発行登録制度の導入、③発行登録に際してのプログラム・アマウント方式の採用を提言している(今号27頁以下参照)。
①は、同制度の利用適格要件のうち、発行者の情報が流通市場等を通じて周知されていることを求める「周知性の要件」について、その存否自体が検討されたものの今日も有用であるという認識のもと、この要件の1つ「格付要件」(指定格付機関からの一定内容の格付の取得を求めるもの)を、第一部会でも行われた格付・格付会社の位置付けの全面的な見直しのなかで撤廃。過去の社債発行実績や発行残高を基準とする要件が代替要件として例示されている。
(2)は、①大部でわかりにくいとの指摘があった投資信託の交付目論見書について、必要かつ簡潔な新たな記載事項を検討。また、②交付・請求の各目論見書、運用報告書の電子交付を促進する方策が模索された(28頁以下参照)。
「有価証券の売出し」概念は今日的な類型化 (3)に絡んでは現行、既発行の有価証券の売付け勧誘等において、(イ)「50人以上」を相手方とし、(ロ)価格・受渡期日等が「均一の条件」で行われる場合に発行開示義務が課せられる。この2要件により規律されるため、実務的には、本来不要と考えられる開示が求められる可能性があり、逆に「勧誘者数でなく約定者数49人ごとに条件をわずかに変更する」といった形で本来必要と考えられる開示がなされていないという実情があった(31頁参照)。
今般の検討では、(ロ)の要件は削除するものとされ、32頁(1)①~③および(3)④の考え方に基づき、発行開示を免除する類型が掲げられている(33頁以下参照)。
審議中、「開示規制の根本にかかわる」とする指摘もあった大幅な見直しであり、見直しに伴う関連改正など法制化の帰趨が注目される。
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