コラム2010年02月15日 【SCOPE】 適用額明細書の添付を求める租特透明化法案が国会提出(2010年2月15日号・№342)
平成23年4月1日以後終了事業年度の申告から
適用額明細書の添付を求める租特透明化法案が国会提出
政府は2月5日、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案」(以下「租特透明化法案」という)を閣議決定し、国会に提出した(次頁参照)。租特透明化法案は、法人税関係特別措置(減収効果のあるもの)の適用を受ける法人について、適用額明細書を法人税申告書に添付することを義務付けるもの。原則として、平成22年4月1日から施行されるが、適用額明細書の提出義務等については、平成23年4月1日以後終了する事業年度の申告から適用される(図参照)。
誤りのない明細書を提出すれば法人税法の特例の適用が可能
今回の租特透明化法案は、租税特別措置がどのように利用され、どのような効果を生じているのか、租税特別措置の抜本的な見直しを行ううえで適用実績の把握や効果の検証を行うものである。
具体的には、法人税関係特別措置の適用を受ける法人(人格のない社団等および法人課税信託の受託者である個人は法人とみなされる)に対して、適用額明細書を法人税申告書に添付することを義務付けるもの(法人税関係特別措置とは、租税特別措置法第3章の規定(法人税法の特例)によるもので、税額または所得の金額を減少させるもの)。適用額明細書を添付しなかった場合、または虚偽記載した場合には、その法人税申告書に係る事業年度において適用を受けようとする法人税関係特別措置の適用はない。
ただし、この場合であっても、誤りのない適用額明細書を提出した場合には、故意による不添付または虚偽記載をしたと認められる場合を除き、法人税関係特別措置を適用することができる。
また、財務大臣は、毎会計年度、法人税関係特別措置ごとの適用法人数、適用額の総額等の適用の実態を調査し、報告書を作成する。内閣はこの報告書を国会に提出することとされている。
地方税は本法で改正 なお、地方税における税負担軽減措置等についても、地方税法を改正することにより、適用実態を把握し、その結果を国会へ報告することとされている。
租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案要綱
1 目的 この法律は、租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることにより、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与することを目的とすることとする。(第1条関係)
2 定義(第2条関係) (1)この法律において「租税特別措置」とは、内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付する措置又は内国税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき設けられた内国税に関する法律の特例で、租税特別措置法の規定(税負担を不当に減少させる行為の防止に関する特例等の規定を除く。)により規定されたものをいうこととする。
(2)この法律において「法人税関係特別措置」とは、租税特別措置のうち租税特別措置法第3章の規定によるものをいうこととする。
(3)その他この法律における用語の意義を定めることとする。
3 適用額明細書の提出義務(第3条関係) (1)法人税申告書を提出する法人で、法人税関係特別措置(税額又は所得の金額を減少させる規定等によるものに限る。以下同じ。)の適用を受けようとするものは、それを記載した適用額明細書を法人税申告書に添付しなければならないこととする。
(2)(1)の適用額明細書を添付せず、又は虚偽の記載をした適用額明細書を添付して法人税申告書を提出した法人については、その法人税申告書に係る事業年度において適用を受けようとする法人税関係特別措置の適用はないものとする。
(3)税務署長は、(1)の適用額明細書の添付がない法人税申告書又はその適用額明細書の記載に虚偽がある法人税申告書の提出があった場合においても、誤りのない適用額明細書の提出があったときは、故意に不添付又は虚偽記載をしたと認められる場合を除き、その適用額明細書に係る法人税関係特別措置を適用することができることとする。
4 適用実態調査の実施(第4条関係) (1)財務大臣は、法人税関係特別措置について、適用額明細書に記載された事項を集計することにより、法人税関係特別措置ごとの適用法人数、適用額の総額等の適用の実態を調査することとする。
(2)(1)のほか、財務大臣は、租税特別措置の適用の実態を調査する必要があると認めるときは、税務署長に提出される調書等を利用し、並びに行政機関その他の関係団体に対し資料の提出及び説明を求めることができることとする。
5 報告書の作成と国会への提出 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置(適用実態調査を実施したものに限る。)ごとの適用者数及び適用総額、法人税関係特別措置ごとの高額適用額その他の事項を記載した適用実態調査の結果に関する報告書を作成することとし、内閣は、これを国会に提出しなければならないこととする。
なお、この報告書は、作成した会計年度に開会される国会の常会に提出することを常例とする。(第5条関係)
6 適用実態調査情報の提供 行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、適用実態調査情報(適用実態調査によって集められた情報のうち、文書、図面又は電磁的記録に記録されているものをいう。以下同じ。)の提供を求めることができることとし、財務大臣は、この求めがあったときは、正当な理由がない限り、これを提供することとする。(第6条関係)
7 適用実態調査情報の適正な管理及び利用制限 財務大臣及び行政機関の長等は、適用実態調査情報を適正に管理することとし、その目的以外の目的のために適用実態調査情報を自ら利用し、又は提供してはならないこととする。(第7条、第8条関係)
8 適用実態調査情報の取扱いに従事する者又は従事していた者の守秘義務及びその違反に対する罰則について必要な規定を設けることとする。(第9条、第12条関係) 9 国税庁長官への財務大臣の権限の委任、適用額明細書の様式その他必要な事項等について、所要の規定を設けることとする。(第10条、第11条関係) 10 施行期日等(附則関係) (1)この法律は、別段の定めがあるものを除き、平成22年4月1日から施行することとする。
(2)上記3は平成23年4月1日以後に終了する事業年度に係る法人税の申告について適用し、上記4(1)は平成23年4月1日以後に終了する事業年度において適用を受ける法人税関係特別措置について適用する。
適用額明細書の添付を求める租特透明化法案が国会提出
政府は2月5日、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案」(以下「租特透明化法案」という)を閣議決定し、国会に提出した(次頁参照)。租特透明化法案は、法人税関係特別措置(減収効果のあるもの)の適用を受ける法人について、適用額明細書を法人税申告書に添付することを義務付けるもの。原則として、平成22年4月1日から施行されるが、適用額明細書の提出義務等については、平成23年4月1日以後終了する事業年度の申告から適用される(図参照)。

具体的には、法人税関係特別措置の適用を受ける法人(人格のない社団等および法人課税信託の受託者である個人は法人とみなされる)に対して、適用額明細書を法人税申告書に添付することを義務付けるもの(法人税関係特別措置とは、租税特別措置法第3章の規定(法人税法の特例)によるもので、税額または所得の金額を減少させるもの)。適用額明細書を添付しなかった場合、または虚偽記載した場合には、その法人税申告書に係る事業年度において適用を受けようとする法人税関係特別措置の適用はない。
ただし、この場合であっても、誤りのない適用額明細書を提出した場合には、故意による不添付または虚偽記載をしたと認められる場合を除き、法人税関係特別措置を適用することができる。
また、財務大臣は、毎会計年度、法人税関係特別措置ごとの適用法人数、適用額の総額等の適用の実態を調査し、報告書を作成する。内閣はこの報告書を国会に提出することとされている。
地方税は本法で改正 なお、地方税における税負担軽減措置等についても、地方税法を改正することにより、適用実態を把握し、その結果を国会へ報告することとされている。
租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案要綱
1 目的 この法律は、租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることにより、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与することを目的とすることとする。(第1条関係)
2 定義(第2条関係) (1)この法律において「租税特別措置」とは、内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付する措置又は内国税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき設けられた内国税に関する法律の特例で、租税特別措置法の規定(税負担を不当に減少させる行為の防止に関する特例等の規定を除く。)により規定されたものをいうこととする。
(2)この法律において「法人税関係特別措置」とは、租税特別措置のうち租税特別措置法第3章の規定によるものをいうこととする。
(3)その他この法律における用語の意義を定めることとする。
3 適用額明細書の提出義務(第3条関係) (1)法人税申告書を提出する法人で、法人税関係特別措置(税額又は所得の金額を減少させる規定等によるものに限る。以下同じ。)の適用を受けようとするものは、それを記載した適用額明細書を法人税申告書に添付しなければならないこととする。
(2)(1)の適用額明細書を添付せず、又は虚偽の記載をした適用額明細書を添付して法人税申告書を提出した法人については、その法人税申告書に係る事業年度において適用を受けようとする法人税関係特別措置の適用はないものとする。
(3)税務署長は、(1)の適用額明細書の添付がない法人税申告書又はその適用額明細書の記載に虚偽がある法人税申告書の提出があった場合においても、誤りのない適用額明細書の提出があったときは、故意に不添付又は虚偽記載をしたと認められる場合を除き、その適用額明細書に係る法人税関係特別措置を適用することができることとする。
4 適用実態調査の実施(第4条関係) (1)財務大臣は、法人税関係特別措置について、適用額明細書に記載された事項を集計することにより、法人税関係特別措置ごとの適用法人数、適用額の総額等の適用の実態を調査することとする。
(2)(1)のほか、財務大臣は、租税特別措置の適用の実態を調査する必要があると認めるときは、税務署長に提出される調書等を利用し、並びに行政機関その他の関係団体に対し資料の提出及び説明を求めることができることとする。
5 報告書の作成と国会への提出 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置(適用実態調査を実施したものに限る。)ごとの適用者数及び適用総額、法人税関係特別措置ごとの高額適用額その他の事項を記載した適用実態調査の結果に関する報告書を作成することとし、内閣は、これを国会に提出しなければならないこととする。
なお、この報告書は、作成した会計年度に開会される国会の常会に提出することを常例とする。(第5条関係)
6 適用実態調査情報の提供 行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、適用実態調査情報(適用実態調査によって集められた情報のうち、文書、図面又は電磁的記録に記録されているものをいう。以下同じ。)の提供を求めることができることとし、財務大臣は、この求めがあったときは、正当な理由がない限り、これを提供することとする。(第6条関係)
7 適用実態調査情報の適正な管理及び利用制限 財務大臣及び行政機関の長等は、適用実態調査情報を適正に管理することとし、その目的以外の目的のために適用実態調査情報を自ら利用し、又は提供してはならないこととする。(第7条、第8条関係)
8 適用実態調査情報の取扱いに従事する者又は従事していた者の守秘義務及びその違反に対する罰則について必要な規定を設けることとする。(第9条、第12条関係) 9 国税庁長官への財務大臣の権限の委任、適用額明細書の様式その他必要な事項等について、所要の規定を設けることとする。(第10条、第11条関係) 10 施行期日等(附則関係) (1)この法律は、別段の定めがあるものを除き、平成22年4月1日から施行することとする。
(2)上記3は平成23年4月1日以後に終了する事業年度に係る法人税の申告について適用し、上記4(1)は平成23年4月1日以後に終了する事業年度において適用を受ける法人税関係特別措置について適用する。
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