コラム2012年11月19日 【SCOPE】 成鶏の取得価額は1羽ごとに判定(2012年11月19日号・№475)
「ひな群」ごととの主張は退けられる
成鶏の取得価額は1羽ごとに判定
採卵用の鶏(成鶏)に係る所得計算上の取得費の取扱いは、納税者の選択により減価償却資産とすることができる。その場合、成鶏の取得価額の判定単位が問題となるが、「ひな群」ごとではなく、1羽ごとに判定されることとなる。つまり、成鶏の1羽ごとの取得価額が10万円未満であれば、少額の減価償却資産として、取得価額相当額をその業務の用に供した年分の事業所得の計算上、必要経費に算入することとなる。
採卵用鶏の取得価額の取扱いを定めた個別通達 採卵用鶏の所得計算に係る取得費の取扱いについては、金沢国税局長からの照会に対し、国税庁長官が回答した個別通達「採卵用鶏の取得費の取扱いについて」がある(次頁参照)。この個別通達によれば、(1)ひなから成鶏までの育成費用については、たな卸資産、(2)成鶏については、納税者の選択により、①たな卸資産または②減価償却資産とする方法のいずれかの方法により取り扱われている。
また、実態として採卵用鶏は、成鶏になってから廃鶏になるまでの業務の用に供する期間が13ヶ月程度と短く、事業形態は、ひなの購入から育成、採卵、廃鶏、譲渡までを継続して行っていることが通例とされる。
そこで、採卵業を営む個人または法人の所得金額の計算上、種卵・ひな・成鶏等を購入するために要した費用、種卵をふ化するために要した費用およびひなを成鶏とするために要した育成費用等については、継続適用を条件としてその購入、育成等をした年分または事業年度における必要経費または損金の額に算入することができるとされている。
成鶏は1羽で資産としての機能発揮 上記の個別通達では、成鶏について、減価償却資産とする方法が選択できるとされているが、減価償却資産とした成鶏の取得価額の判定単位が問題となった裁決事例があった。具体的には、採卵業を営む納税者が、平成15年11月および平成17年9月にそれぞれ複数羽の成鶏を取得して業務の用に供した事実があり、納税者は平成16年分、17年分、18年分について成鶏の減価償却費の計算を行っていたというもの。
居住者が事業供用した減価償却資産で、その取得価額が10万円未満のものについては、その取得価額相当額が事業供用した年分の事業所得の計算上、必要経費に算入される(所令138条)。この少額の減価償却資産該当性において、成鶏の取得価額の判定単位が問題となるが、審判所は、減価償却資産の取得価額が10万円未満であるかどうかは、納税者の事業活動において、一般的、客観的に、資産としての機能を発揮することができる単位を基準にその取得価額を判断すべきであると指摘。成鶏については、1羽ごとに減価償却資産の取得価額を判定するのが相当と判断している。
なお、課税当局は、成鶏の取得価額について、「ひな群」ごとに計算すべきであり、本件の場合は少額の減価償却資産に該当しないと主張したが、退けられている。
成鶏の取得価額は1羽ごとに判定
採卵用の鶏(成鶏)に係る所得計算上の取得費の取扱いは、納税者の選択により減価償却資産とすることができる。その場合、成鶏の取得価額の判定単位が問題となるが、「ひな群」ごとではなく、1羽ごとに判定されることとなる。つまり、成鶏の1羽ごとの取得価額が10万円未満であれば、少額の減価償却資産として、取得価額相当額をその業務の用に供した年分の事業所得の計算上、必要経費に算入することとなる。
採卵用鶏の取得価額の取扱いを定めた個別通達 採卵用鶏の所得計算に係る取得費の取扱いについては、金沢国税局長からの照会に対し、国税庁長官が回答した個別通達「採卵用鶏の取得費の取扱いについて」がある(次頁参照)。この個別通達によれば、(1)ひなから成鶏までの育成費用については、たな卸資産、(2)成鶏については、納税者の選択により、①たな卸資産または②減価償却資産とする方法のいずれかの方法により取り扱われている。
また、実態として採卵用鶏は、成鶏になってから廃鶏になるまでの業務の用に供する期間が13ヶ月程度と短く、事業形態は、ひなの購入から育成、採卵、廃鶏、譲渡までを継続して行っていることが通例とされる。
そこで、採卵業を営む個人または法人の所得金額の計算上、種卵・ひな・成鶏等を購入するために要した費用、種卵をふ化するために要した費用およびひなを成鶏とするために要した育成費用等については、継続適用を条件としてその購入、育成等をした年分または事業年度における必要経費または損金の額に算入することができるとされている。
成鶏は1羽で資産としての機能発揮 上記の個別通達では、成鶏について、減価償却資産とする方法が選択できるとされているが、減価償却資産とした成鶏の取得価額の判定単位が問題となった裁決事例があった。具体的には、採卵業を営む納税者が、平成15年11月および平成17年9月にそれぞれ複数羽の成鶏を取得して業務の用に供した事実があり、納税者は平成16年分、17年分、18年分について成鶏の減価償却費の計算を行っていたというもの。
居住者が事業供用した減価償却資産で、その取得価額が10万円未満のものについては、その取得価額相当額が事業供用した年分の事業所得の計算上、必要経費に算入される(所令138条)。この少額の減価償却資産該当性において、成鶏の取得価額の判定単位が問題となるが、審判所は、減価償却資産の取得価額が10万円未満であるかどうかは、納税者の事業活動において、一般的、客観的に、資産としての機能を発揮することができる単位を基準にその取得価額を判断すべきであると指摘。成鶏については、1羽ごとに減価償却資産の取得価額を判定するのが相当と判断している。
なお、課税当局は、成鶏の取得価額について、「ひな群」ごとに計算すべきであり、本件の場合は少額の減価償却資産に該当しないと主張したが、退けられている。
|
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.